【お菓子博 お菓子の物語】タルトアンドカヌレ
_タルトアンドカヌレの物語_
わたしが愛してやまないカヌレたちは牛のミルクと鶏の卵、小麦粉からできています。
そこにバターやバニラ、ラム酒を加えて、じっくり休ませてからオーブンに入れてまたまたじっくり焼き上げます。カチコチのカヌレですが、オーブンに入る前は薄黄色の液体です。これがなかなかの気難し屋なのです。
そこにバターやバニラ、ラム酒を加えて、じっくり休ませてからオーブンに入れてまたまたじっくり焼き上げます。カチコチのカヌレですが、オーブンに入る前は薄黄色の液体です。これがなかなかの気難し屋なのです。
わたしにはカヌレの先生がおらず、資料をかき集めて、何度も挑戦しては失敗して、どうにか自分のカヌレを焼けるようになりました。
お相手は気難し屋さんなので、油断は大敵。今でもご機嫌伺いが欠かせません。
おんなじようにしているつもりでも、少しの変化で焼き上がりが変わります。
「私もう少し寝ていたかったのよ」
「僕んとこ、他の奴らと比べて熱いの回ってこなかったし」
「蜜蝋さんがいつもよりなんか多めにいた気がするー」
などなど、仕上がりが違うカヌレさん達からはいろんな声が聞こえてきます。中には黙して語らずタイプもいます。
「僕んとこ、他の奴らと比べて熱いの回ってこなかったし」
「蜜蝋さんがいつもよりなんか多めにいた気がするー」
などなど、仕上がりが違うカヌレさん達からはいろんな声が聞こえてきます。中には黙して語らずタイプもいます。
大好きだけど、なかなか売ってるところがなくて、自分が食べたいがために一念発起。カヌレを焼きはじめてから10年が経ちました。
100点満点の大親友への道のりは、遥か遠く感じます。素朴な美味しさでわたしを癒してくれるカヌレ。沢山の人や場所との繋がりを与えてくれるカヌレ。小さな町の小さな工房で日々顔を合わせる大切なパートナー。
オーブンがビーーっとなって開けた瞬間に、嬉しかったり落ち込んだり腹が立ったり、色んな日があります。どんな日も片想いの恋心を大切に、大好きなカヌレと向き合っていこうと思います。
明日も冷蔵庫で眠っているカヌレ液を起こすところから私の一日は始まります。