へいじつのよみきかせ~親と子の時間~「感覚あそび」

Kidsコンシェルジュが提案する絵本を軸とした親と子の過ごし方。
今回は「感覚あそび」をテーマにお送りします。
 
2月は1年を通して最も寒さが厳しい季節といわれます。感染症の拡大のさなかということもありますから、体調管理には十分気をつけていきたいですね。しかしながら、子どもたちはいつも元気いっぱいです。何をして楽しませようかとネタ切れしてしまいますよね。実際のところ、寒い戸外よりも温かい室内で過ごしたいなーというのが大人の本音かもしれません…
実は冬だからこそ楽しめる素材が身近にたくさんあるんです。それらを使って、家の中でも「感覚あそび」を楽しみましょう!
 
「感覚あそび」とは―
触る、見る、嗅ぐなどの五感を使ったあそびを「感覚あそび」といいます。様々な感触を味わう「感触あそび」もその中の1つです。集中力が身につく、脳が活性化するなど発達に欠かせない要素がたくさんあります。今回はおもに「感触あそび」のご紹介です。
■氷
冷凍庫の氷をお皿にのせて触ってみる、テーブルの上を溶けてすべる様子を楽しむ
■雪
ふわふわの雪と固く丸めた雪の感触を比べて違いを楽しむ
■ビニール袋に入れた砂
丈夫な透明ビニールに入れて口を閉じ、手の甲に軽く落としてみたり、袋を揉んだり叩いたりして「ざらざらツブツブ」の刺激を楽しむ
■水
お風呂に入った時、洗面器に水を張って湯舟とは違う冷たさを体験するなど…冬に限らず、こんな遊びもぜひ体験してみましょう。
■シャワーの水圧
手や足の裏にシャワーをかけてあげましょう。くすぐったくて笑い転げます。
■スライム
市販のものもありますが、洗濯のりとホウ砂でつくることもできます。固め、柔らかめなど色々な感触で作ることができます。冷蔵庫に入れておくと冷たいスライムも体験できます。
■小麦粉粘土
指先を使ってこねたり、ちぎったりして遊びます。案外難しいのが、手のひらでお煎餅みたいに平らに伸ばすこと。万が一口に入ってしまっても安心ですね。遊ぶ前にアレルギーの有無を確認しましょう。
■食品(こんにゃく、はるさめなど)
手や指先からプルプル、ぐにゃぐにゃの感触を味わうことができます。もし食べ物で遊ぶことに抵抗があれば、夕飯の支度の時にお手伝いと称して触ってみるのはどうでしょう。
■緩衝材(ぷちぷち)
両手でしぼるようにして(布巾をしぼる練習になります)音を楽しむ。
■風船
投げたらゆっくりと落ちてくる感覚や弾むような手触りを楽しむ。
■おせんべいの外装袋や仕切りなど
握ると音が鳴るような、柔らかいものを選ぶと楽しいです。
■スズランテープのカーテン
部屋の端から端までの長さのスズランテープを低い位置に結びつけます。反対側も結び付け、1本ずつまたがせて結び付けカーテンのように垂らしていきます(隙間ができるだけできないようにたくさんつけるのが楽しい)。子どもが下をハイハイしたり、背中で進んだりするとスズランテープが顔に触れたり、風でなびくので、サラサラふわふわの感覚を味わえます。実際部屋の端から端までは作るのはとても大変で私は挫折しそうになりました。片方は大人が持っていれば遊べるので、子どもが2人通れるくらいの長さがあれば十分かもしれませんね。
我が家ではこれを何日か楽しんでくれましたが、引っ張った時のシャワシャワの音が楽しくなってしまっていつの間にか破壊されていました。破壊された後は、腰に巻いたり持って振り回したりしてダイナミックに遊んでくれました。その時「子どもって遊びの天才だなー」と感じたことを、しみじみと思い出しています。
 
このように、小さいうちから手や足、皮膚などからいろいろな刺激を受けることは、脳に適度な刺激を与えることになります。表情が豊かになり、声掛けに敏感に反応したり発語が増えたりなど、心身に様々な発達を促します。また、スキンシップをとりながら大好きな人と一緒に楽しく遊ぶ経験ができるので、感覚あそびは子どもの感情を育むうえでとても大切で、喜びが満たされる遊びの1つなのです。普段はあまり感じることのできない非日常を、ワクワクしながら楽しんでほしいなと思います。
わざわざ新しい遊具を買って用意しなくても、子どもの表情がぱっと明るくなるような楽しい素材が身近にはたくさんあります。2、3歳ごろであれば、自ら面白さを発見できるようにこっそり用意しておいてあげてもいいかもしれません。「世紀の発見」をしたかのような子どもの表情は、こちらもつい笑顔になってしまいますね。
 
ここからは、少し注意が必要なことをお伝えします。
目新しいことに過敏な子どもにとって、楽しいはずの感覚あそびは全然楽しくないものです。普段と違う感覚や、手触り、匂いを嫌がり、触れることもできないでいます。そのような子どもには、無理強いは絶対にしないでください。まずは、周りが楽しんでいる様子を見ることから始めましょう。楽しい様子を眺めていると、「あれ?楽しいのかな」と、そこに興味が出てきます。2回目は自分だけの場所とペースで指1本なら触れられるかもしれません。このコラムでも何度もお伝えしていますが、1度で諦めてはいけません。「嫌いなんだね」と諦めてしまうと「イヤだから経験しない」まま成長することになります。過敏なことは悪いことではないのですが、緊張した心や体を少しでも緩めることができたらいいですし、諦めてしまったらもったいないなと感じるのです。
 
2点目は、身近なもので遊ぶことの怖さです。口に入れてしまうと、誤飲の可能性やアレルギーなど命に関わることがあります。兄弟、姉妹に任せるのではなく、大人が必ず一緒に遊んであげてくださいね。汚れてもいい衣服を用意し、遊びが終わったら手を洗うなどの約束もしておきましょう。

 
 
【今月のおすすめ絵本】
『さわれるまなべるみぢかなどうぶつ』グザヴィエ・ドヌー  絵 /パイインターナショナル
 

実際に犬や猫など身近な動物に触れてみるのも良い経験なのですが、ペットがいるお宅でないとなかなか簡単ではないですね。そこで、絵本の中でもいろんな感触を味わってみませんか?
【読み方ポイント】
お子さんが小さいうちは、「イヌ」「わんわん」などと声にしながら毛並みに触れてみましょう。3歳頃になると、文字を読みすすめながら感触を確かめていくと楽しいですよ。
 
その他のシリーズ
『さわれるまなべるやせいのどうぶつ』
『さわれるまなべるいきもののあかちゃん』
 
 


 
宮本 陽子(みやもと ようこ)
Kidsコンシェルジュ
保育科卒業。保育士として広島市の保育園に勤務。
21年勤続の後、保育士時代に毎日読み聞かせをして培った絵本の知識を、リアルタイムに子どもたちそして親たちへ伝えられたらと思い、2017年広島 蔦屋書店に入社。入社してからも「へいじつのよみきかせ」で平日は毎日1日2回、ほぼ毎日絵本を読んでいる。
「0歳から就学前の子どもたちの好きな絵本」、「親が子どもにぜひ読んであげてほしい絵本」、「おとなの気持ちを癒す絵本等」等、多様な児童書というジャンルのなかでも特に「絵本」が持つ魅力を提案し続けている。
 
 

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