へいじつのよみきかせ〜親と子の時間〜「断乳」

 
Kidsコンシェルジュが提案する絵本を軸とした親と子の過ごし方。
今回は「断乳」をテーマにお送りします。
 
「仕事復帰」や「そろそろ食事をメインに栄養をとりたい」など、そろそろ断乳をしたいけどどういうふうにすれば成功するのかなと迷っているお母さんはたくさんいるのではないでしょうか。
自分の体の具合、子どもがすんなり諦めてくれるかなど、「断乳は」一筋縄ではいかないことがたくさんあります。
子どもが求めるまで飲ませ続けるというのがいいという説もありますが、保育士時代の経験から私はおすすめできません。いつまでも何かに依存し続けることで、発達に見合った活動をする中で、集中力が身につかなかったり、すぐに諦めてしまったりする傾向があるように感じるからです。自分の力でやってみようと頑張ることもとても大切な成長の過程です。
母親と子どもの絆はとても強いものですが、母乳を通してではなく他の方法でも十分に深めることができます。例えば、スキンシップ。たくさん抱っこしたり、ふれあい遊びをするなかで子どもはたくさんの刺激を受けます。そして、たくさんの声掛け。ちいさな発見もしっかり話しかけてあげることで心地よさを体験できます。このように大人からの愛情をたっぷり受け子どもは安心して心も体も成長していくのです。
 
私も2人の子の子育てをしています。
1人目の子どもの断乳を決心したのは職場復帰を目前に保育園という預け先が決まり、一安心をした矢先でした。
母乳をやめてもいいのかな?
フルタイムで働いていた私は、母乳を搾乳して冷凍して保育園に持参するなど、到底できないなと感じていました。でもまだわが子は9か月。離乳食はよく食べていましたが、まだ中期食の終わりごろでしたし、栄養が足りないかなと思い、決断したのは「ミルクへの移行」でした。しかもストローで…
皆さんの中にも経験がおありの方がいらっしゃるかと思いますが、母乳で育った子どもはゴム製の哺乳瓶の乳首をなかなか吸ってくれないということがありますね。わが子もそうでしたので、すぐに諦めてストローにしたというわけです。
ストローの吸い方ってどうやって教えればいいと思いますか?初めは悩みましたが、以外と簡単なことでした!コップにお茶を入れてストローを口にくわえさせると、初めは何も起きないのですが、次の瞬間、息を吸うと同時にお茶がストローを上がっていきます。初めは本人もとてもビックリしていましたが、何日かするとあっさりとお茶をストローで飲んでいました。これで意外にもすんなりミルクに意向することができたのです!
しかし、どうしてもストローミルクではダメだったのが、夜中の授乳でした。
夜も必ず1度は起きていたので、ストローでミルクをと思いあげてみたところ全然飲んでくれず泣き止んでくれません。やはり新生児の頃から親しんでいる大好きな吸てつ反射はなかなか消えてくれませんね。そこで、夜だけ哺乳瓶の乳首でミルクを飲ませることに。哺乳瓶を嫌がっていたにも関わらず吸えるものなら何でも吸うというくらいの感じで無事に眠ってくれました。でも、仕事復帰するにあたって、保育園に通うわが子には夜はぐっすり眠ってほしかったし私自身もできれば夜は授乳なく眠りたかったというのもあります。幸い、乳腺炎などのトラブルもありませんでしたし、どちらにとっても寝られないことはマイナスでしかないと思い思い切って断乳を決意しました!
哺乳瓶にお茶を入れて夜中目覚めたときに飲ませました。すると、今までにないくらい大泣きしていましたが、私はその日から哺乳瓶の中身をミルクには絶対にしませんでした。
そうすると、これまた次の日くらいだったでしょうか。それから特別なことがない限りもう夜中に起きることはなく朝までぐっすり寝てくれるようになったのです!
 
こんな感じで1人目の子どもの断乳劇は終了しました。今思えばわが子との良い思い出です。しかしその時は必死ですから、泣きたくなるほどつらかったと思います。のど元過ぎれば熱さを忘れる…本当に子育てはその繰り返しだなと思うのです。
その後、無事に仕事復帰をすることができ、夜もぐっすり寝ることができて、子どもには感謝しています。
私のやり方はこんな感じです。これは正解ではないと思います。正解は人それぞれ。結果オーライなところがありますよね。
あせらないためにも、断乳の決断は早い方がいいと思います!それと決心ですね。どんなに泣いてもかわいそうでも心を決めること。断乳は意地悪をしているわけではないんです。これは自分のためだけでなく、お子さんのためでもあるのです。ダラダラとつなぎとめているよりも早く諦めさせてあげる方が子どもにとっても幸せだからです。
 
話を戻しますが、2人目の時はというと…
下の子はもともとあまり夜中に起きる子ではなかったので、断乳をしたというよりは、
朝までぐっすり眠ってくれるようになったので、自然に断乳ができた感じでした。でも、1歳になったら職場復帰をしなくてはいけなかったので、随分前から心の準備はしていたので、子どもに伝わっていたんだなと思っています。
今思えば、私はすんなり断乳できたほうなのかなと思うのですが、こんなに鮮明に当時のことを覚えていたんだと考えると、やっぱり大変だったなとか、もうおっぱいを飲んでる顔を見ることができないんだという寂しさとか、その時はいろんな感情が交錯していたんだと思います。
「断乳」って、一番初めの母子分離の場面ではないでしょうか。そして一大イベントですね。
母親も子どもも涙は出るし、気持ちは揺らぐし、誰かに相談してもみんなそれぞれやり方が違うからそれを実践してみてもうまくいくとは限らないし。長いトンネルから抜け出せないような孤独感を感じてしまいます。
乳腺炎などで断念せざるを得ないこともありますね。そんな時は無理をしないで、改めてタイミングを待ちましょうね。
親も子も初めてのことに挑むということは、大変だし、強い意志も時間もいるし、弱音を吐きたくなる時に支えてくれる人も必要。だからこそ周りを巻き込んで、1つ1つ乗り越えていきましょうよ!
そしてかわいいわが子とのいろんな思い出を、1つずつ増やしていきましょうね。
 
 
【今月のおすすめ絵本】
『おっぱいばいばい』みつい ゆきこ 作/くぜ じゅんき 絵/グランまま社
 

 
【メッセージ】
あかちゃんがおっぱいを飲んで成長する時期は本当に短いです。
その時は、必死だし夜中の授乳は眠いし…早くご飯を食べて大きくなってほしいなと感じるでしょう。
でもいざ決断をすると、おっぱいを飲んでいる愛くるしい表情をこの先2度と見ることはできないのか…そう思って、寂しさがこみあげてきます。
今、おっぱいにばいばいしようとしているあかちゃんとお母さんへ。
この大切な気持ちをずっと忘れないでいてほしいと思います。
 
 

 
 
宮本 陽子(みやもと ようこ)
Kidsコンシェルジュ
保育科卒業。保育士として広島市の保育園に勤務。
21年勤続の後、保育士時代に毎日読み聞かせをして培った絵本の知識を、リアルタイムに子どもたちそして親たちへ伝えられたらと思い、2017年広島 蔦屋書店に入社。入社してからも「へいじつのよみきかせ」で平日は毎日1日2回、ほぼ毎日絵本を読んでいる。
「0歳から就学前の子どもたちの好きな絵本」、「親が子どもにぜひ読んであげてほしい絵本」、「おとなの気持ちを癒す絵本等」等、多様な児童書というジャンルのなかでも特に「絵本」が持つ魅力を提案し続けている。
 
 

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