へいじつのよみきかせ〜親と子の時間〜「はいはいの大切さ」

 
Kidsコンシェルジュが提案する絵本を軸とした親と子の過ごし方。
今回は「はいはいの大切さ」をテーマにお送りします。
 
梅雨入り宣言が出たと思ったら、あっという間に梅雨が明けましたね!
熱中症に気をつけながら元気に夏を乗り切りたいですね。
さて、今月は「はいはいの大切さ」をテーマにお話をしたいと思います。
あかちゃんは寝て過ごす時期から、寝返りが始まり、ずりばい、おすわり、はいはい、つかまり立ち、つたい歩きから歩行の自立へと移行していきます。
 
寝がえりもつたい歩きも発育を促すための大切な運動ですが、ここでは「はいはい」をピックアップしていきます。
はいはいは、両手、両腕、両足を使って身体を支え、前に進む全身運動です。
寝がえりができるようになり、うつ伏せでしばらく遊べるようになったら、目の前にある大好きな遊具に手を伸ばすようになり、はいはいの前形「ずりばい」ができるようになります。
おすわりが先にできるようになるあかちゃんもいます。そうすると、目で追うものに手を伸ばそうと、前傾姿勢になりうつ伏せからずりばいが始まります。
ずりばいは、両手と両腕だけで体を支えているので、気持ちとは裏腹に初めは後ろに下がってしまします。まだ膝に力が入らなかったり足先が使えないので蹴る力が未熟なため滑ってしまうんですね…でもこの姿がとってもかわいいんですよ。前に這って、欲しいもののところに行きたいのに…後ろに下がりながら最後は泣いちゃうんです。
ずりばいをして、手と腕にしっかり力がついたら、つま先で蹴って前進できるようになります。そうするとその腕で体が持ち上がるようになり、膝とつま先を使って前進できるようになるのです。これがはいはいです。
はいはいは、あかちゃんがこれから成長していくために欠かせない運機能がたくさんつまっています。ですから、しっかりはいはいをさせてあげましょう。しっかりはいはいをして、つかまり立ちやつたい歩きに移行することで、脚や背筋にしっかり力がつき体幹が鍛えられるので、転びにくくバランスの取れた歩行ができるようになるのです。
また、はいはいは、全身を使いながら目は見えるものを追っていますから、2つのことを同時に行っているんですね。これを「目と手の協応」といいます。
私たちは、例えば歩きながら危険なものを回避したり、対象物を見ながらはしごを登ったりと、協応動作を無意識にしています。これは、産まれて間もないこの時期に、はいはいからつかまり立ちに移行するための全身運動によって身についたものといっても過言ではありません。
このように、あかちゃんの体の機能はたくさんの運動を経験すればするほど発達し、体幹が鍛えられることでけがをしにくい安定した体がつくられるということです。
 
はいはいをたくさんしてもらおうと思ったら、やはり広い場所が必要ですね。
あかちゃんは床に物があると、何にでもつかまりすぐに立とうとしますから困ってしまします。ですから、できるだけ広い場所でたくさんはいはいができるように環境を整えてあげましょう!
親子で一緒にはいはいをしながら追いかけっこをするのもおすすめです。
子どもの目線に降りることで、危険を素早く見つけることもできるので安全にはいはいが身についていきます。

 
また、こんな遊びはいかがでしょうか?
「おいでおいでー」と呼んであげましょう。喜んではいはいをしながら向かってきてくれます。お家の人が二手に分かれて呼んであげると、どっちに行こうかな?とかわいい笑顔
を見せてくれます!    
平らな場所でしっかりとはいはいができるようになったら、クッションや、毛布を丸めて障害物を作ってあげましょう。登ったり乗り越えたりしながら遊ぶとさらに手足にしっかりと筋肉がつきます!しっかり動いて疲れたら、赤ちゃんもぐっすりお昼寝をしてくれますね。
しっかりはいはいができるようになったら、膝がのびておしりがあがり「たかばい」ができるようになります。たかばいができるようになると、はいはいのスピードが上がりますから、後ろから追いかけてあげるととっても喜びますよ!
 
そして、歩行器のお話もしておきたいと思います。
今はあまり流通していないかもしれませんが、あかちゃんが動きまわるようになるとついつい「歩行器」に乗せたいと思われる気持ちもとてもよくわかります。安全にあかちゃんがご機嫌で一人遊びをしてくれますから、親御さんは安心です。しかし、はいはいを十分に経験せずに早くから歩行器に乗ってしまうと、足に十分な筋肉をつける前につま先立ちで歩行器を動かしてしまい、歩行に必要な正しい歩き方や筋肉が身につかないということがおこります。そうなると、このことはもっと先に両脚とび、ジャンプ、なわとびなどのあそびを経験する時に脚に十分な力がついていないので運動に支障が出てしまうのです。
ですから、歩行器は極力おすすめできません。あかちゃんの健康的な発育を歩行器に頼るのではなく、はいはいの間だけでいいので、あかちゃんが安全に楽しく運動ができる環境をしっかりと用意してあげてほしいなと思います。
抱っこも重たくなってきたし、早く立って歩いてほしいと思われる親御さんもいらっしゃるかと思いますが、はいはいの時期はたった数ヶ月。あかちゃんの運動発達にとっても、親御さんの子育ての大切な思い出としても、しっかり時間をかけたいところですね。
 
 
【今月のおすすめ絵本】
『はいはいするものよっといで』小野寺悦子 作/植垣歩子 絵/福音館書店
こどものとも0.1.2. 2022年4月号
 

 
【あらすじ】
「はいはいするものよっといでー」の声かけに、かわいい「はいはい」の動物たちが集まってきます。「よっといでー」という言葉がリズミカルな楽しい絵本。
 
【読み方アドバイス】
「はいはいするものよっといでー」とリズミカルに読んでみましょう。離れた場所から呼んであげるときっと可愛らしい笑顔ではいはいをしてきてくれます!
 
 

 
 
宮本 陽子(みやもと ようこ)
Kidsコンシェルジュ
保育科卒業。保育士として広島市の保育園に勤務。
21年勤続の後、保育士時代に毎日読み聞かせをして培った絵本の知識を、リアルタイムに子どもたちそして親たちへ伝えられたらと思い、2017年広島 蔦屋書店に入社。入社してからも「へいじつのよみきかせ」で平日は毎日1日2回、ほぼ毎日絵本を読んでいる。
「0歳から就学前の子どもたちの好きな絵本」、「親が子どもにぜひ読んであげてほしい絵本」、「おとなの気持ちを癒す絵本等」等、多様な児童書というジャンルのなかでも特に「絵本」が持つ魅力を提案し続けている。
 
 

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