へいじつのよみきかせ〜親と子の時間〜「あかちゃんを迎えるときの子どものこころ」

 
Kidsコンシェルジュが提案する絵本を軸とした親と子の過ごし方。
今回は「あかちゃんを迎えるときの子どものこころ」をテーマにお送りします。
 
毎日ジメジメした暑さが続きますが、水分や塩分補給をして、適度に休息を心がけながら元気に過ごしていきたいですね。
さて今月は、お家にあかちゃんを迎えておねえちゃんおにいちゃんになる子どもさんの心情についてお話したいと思います。子どもは、お家にあかちゃんがやってくるとわかると、漠然とですがおねえちゃんやおにいちゃんになることが嬉しくて心も体も急に大きくなったような気がするんですね。
でも、いざあかちゃんを迎えると……お母さんはいつも忙しそうで、赤ちゃんにつきっきり。お母さんをとられたみたいで寂しくて、カンシャクをおこして叱られたり。
ずっと独り占めにしていたお家の人たちが急にあかちゃんに注目し始めたら、やっぱり少し寂しい気持ちになりますよね。
だから、あかちゃんを迎える準備をする時期になったら、ぜひおねえちゃんおにいちゃんになる子どもの心情に寄り添う準備もしてほしいなと思います。
子どもだって、心の準備が必要なのですから。(お父さんもかな?)
 
 
 
1 おねえちゃん、おにいちゃんと呼ばないで

お母さんのお腹がだんだん大きくなると、あかちゃんが産まれてくることを子どもに伝えたくて
「おねえちゃん(おにいちゃん)になるんよ」と1番初めに子どもに伝えます。大きくなるみたいで嬉しいと感じる子もいれば、まだよくわからないという表情をする子もいるでしょう。
しかし、いざあかちゃんが産まれてきたら、お母さんをあかちゃんに取られたようで寂しさを感じます。あかちゃんとの年齢が近くても、離れていてもそれは同じだと思うのです。
あかちゃんが産まれたら、「おねえちゃん、おにいちゃん」と呼ぶのではなく「〇〇ちゃん」と子どもの名前を呼んであげてください。あかちゃんのおねえちゃんおにいちゃんになったのだけど、子どもは子どものまま受け止めてあげてほしいのです。
プレッシャーを感じたり、あかちゃんの存在を嫌がったりしないように、
頑張る気持ちを見守り、時にあかちゃん返りをして甘える姿もしっかり受け止めてあげましょうね。
 
 
 
2 お母さんと1対1の時間を作りましょう

おねえちゃんおにいちゃんになったからといっても、急に1人でなんでもできるようになるわけではありませんよ。自分だけのお母さんがあかちゃんに取られたように感じることもあるでしょう。そんな時は1日に1回でもいいので、2人だけの時間を作ってあげましょう。例えばお風呂の時間だったり、夕飯の買い物だったり、膝の上で絵本を読んであげる時間だったり。1日に1回が難しければ、家族に協力してもらい週末のお出かけを子どもと2人で楽しむのもいいですね。
お母さんは自分のことも忘れないでいてくれていると安心させてあげること。そうすることで、あかちゃんのお世話が忙しくてお母さんにかまってもらえなくても、少しだけならきっと待つことができるようになるのではないかと思うのです。

 
 
 
3 でも、プライドは傷つけないで。失敗しても、ありがとう!

子どもは自分で色々考えて、お母さんのお手伝いや自分のことを頑張ってやろうとします。成功や失敗を繰り返しながら、上手にできるようになっていきます。子どもが上手くできた時はしっかり褒めてあげることができるのですが、上手くいかない時や忙しい時にさらに仕事がふえて、ついついイライラして子どもに当たったりしてしまうこと、ありますよね。
上手くできなかったという結果だけをみてしまうと、イライラするのも仕方ないのかもしれませんが、子どもが「お母さんのお手伝いをしたかった」「おねえちゃんおにいちゃんになったから頑張ってやってみる」という気持ちを持ってやってくれたという過程をみれば、イライラ半減、感動ですよ。その場では、余裕がないかもしれませんが、少し後で落ち着いたときに、忘れないで「ありがとう」「助かったよ」の言葉をかけてあげてほしいなと思います。
 
 
 
4 あかちゃんとの関係も大切。すすんで、できることはお世話させてあげましょう

産まれたばかりのあかちゃんは、免疫力が低いため清潔を保って生活をさせてあげたいですよね。身体も未熟なため安全面も配慮が必要。だからといってスキンシップを減らすことも、違う気がしますね。
おねえちゃんおにいちゃんは、お母さんの真似をして、あかちゃんのお世話をしたいと思っています。だから必要以上に心配しないで、兄弟姉妹のふれあいを楽しませてあげましょう。抱っこをしたり、あかちゃんの遊び相手になってもらったり、おむつ替えの手伝いをしてもらったり(お尻拭きを渡す役割はどうでしょう)。まだ限度がわからないので目は離せないけれど、あかちゃんと触れ合うことで、「自分は大きくなった、お母さんの役に立っている!」そんなふうに自己肯定感に繋がっていきます。
子どもも家族の一員としてあかちゃんを迎え、少しずつおねえちゃんおにいちゃんとしての自覚を養っていくことができればいいなと思います。
そのためにはお家の方の、特にお母さんの愛情が不可欠なんです。しかし出産後の子育て、家事など、家族が増えると忙しさは倍になりますね。ワンオペ育児にならないためにも周りの協力が絶対に必要です。だって、やっぱりお母さんにしかできないことがあるんです。それは子どもに母親の愛情とまなざしを注ぐこと。
その他は誰かに頼んでもいいんじゃないかな……と思います!
 
 
【今月のおすすめ絵本】
『ちょっとだけ』瀧村有子 作/鈴木永子 絵/福音館書店
 

 
【あらすじ】
赤ちゃんが産まれて、お母さんはとても忙しそう。なっちゃんは「おねえちゃんになったから」とちょっとだけ自分で牛乳をコップについだり、ちょっとだけ自分で髪を結んだりして頑張ります。でも、やっぱりお母さんに甘えたくなったときは……母の子どもへの愛情が深く心に刺さり、涙がとまらなくなります。
 
【読み方アドバイス】
お家に赤ちゃんを迎える子どもさんへ。くり返し読んであげてほしい絵本。集中が続かなければ2、3回に分けて読んであげてもいいですね。じっくりと心に感じてほしいなと思います。
お家の方へ。涙をこらえながら最後まで読み切ることができますように。
3、4歳〜

 
 

 
 
宮本 陽子(みやもと ようこ)
Kidsコンシェルジュ
保育科卒業。保育士として広島市の保育園に勤務。
21年勤続の後、保育士時代に毎日読み聞かせをして培った絵本の知識を、リアルタイムに子どもたちそして親たちへ伝えられたらと思い、2017年広島 蔦屋書店に入社。入社してからも「へいじつのよみきかせ」で平日は毎日1日2回、ほぼ毎日絵本を読んでいる。
「0歳から就学前の子どもたちの好きな絵本」、「親が子どもにぜひ読んであげてほしい絵本」、「おとなの気持ちを癒す絵本等」等、多様な児童書というジャンルのなかでも特に「絵本」が持つ魅力を提案し続けている。
 
 

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