へいじつのよみきかせ〜親と子の時間〜「親子の心をつなぐ絵本」

 
kidsコンシェルジュが提案する絵本を軸とした親と子の過ごし方。
今回は「親子の心をつなぐ絵本」をテーマにお送りします。
 
少しずつ夏の気配を感じながら、雨の1日をどんなふうに過ごしていますか?蒸し暑さからくる憂鬱?それともお洗濯に乗り気がしない気分でしょうか…それでも1日は同じように流れていきます。だったら、楽しく過ごした方が得ですね。何か自分なりに気分の上がるものを見つけて、どうせなら笑って過ごしましょう!
 
ここで仕事をしていると、最近よく感じることがあります。ここは書店ですから、色々な本を手にとって読んでいただくのは当然なのですが、子どもに読みきかせをしているお父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんがとても多いなということ。そして、それがとても上手なのです。(ずっと聞き入っているわけではありませんので心配ご無用です)とくにお父さんが上手!これは、ご家庭でもたくさん読んであげているんだろうなと感じさせられるレベルです。共働きの家庭が多い今、子育ての分担、協力はもはや当たり前と言っていいでしょう。それにしてもです。演技派のお父さんが増えています!子どもがとても楽しそうに見入っているので、その様子を垣間見るととても微笑ましく、あったかい気持ちになります。
 
子どもが絵本を「よんで」と持ってきたら、大人は時間があれば読んであげますね。面倒だなと思う時もあるかもしれません。しかしせっかくの子どもとのコミュニケーションのチャンスですから、ぜひ応じてあげてほしいです。子どもに絵本を読んであげるときに一番必要なことは、大人もその絵本を同じように楽しむことです。
「子どもと遊んであげないと」と考えるとしんどくなるので、自分がそれを楽しめばいいのです。
対象年齢の低い絵本になればなるほど、内容が単純で繰り返しが多いもの。大人は少し「つまらない」と感じることもあるでしょう。しかし、絵本は知るととても深いのです。なぜこの絵本が50年間も読まれ続けているのか、この本とこの本は同じ人の絵だなとか、この絵はかわいいな、あまり好きじゃないなとか、なんでもいいのです。気になりはじめるとほかの絵本はどうかのかな?というふうに色々と見てみたくなるものですから、少しでも興味を持って子どもに読んであげると、親子で楽しい時間になるのではないでしょうか。
 
次に大事なことは、子どもの反応を観察し、発した言葉を聞くこと。
前にもお話ししましたが、0歳から2,3歳の子どもは自分の知っている身近で繰り返しのある内容の絵本が大好きです。
・知っているものが絵本の中にある
・繰り返しを「また出てきたから、次もまた出てくるぞ。ほら同じだ!」
子どもはこの2つのことが楽しくて楽しくて仕方がないのです。なので、読んであげるほうもここを楽しまない手はありませんね。子どもと同じ目線で「これ知ってるよね」「おんなじだったね!」と共感できる声かけをしてみましょう。子どもが笑った場面、つぶやいた言葉って、けっこうおもしろいことを言ったりしていますから、ぜひ見逃さないで。そして読んでくれる大人が楽しんでいることは、子どもには必ず伝わっています。
 
皆さんは、大人になって、だれかに絵本を読んでもらったことがありますか?なかなかそんな機会はないと思うのですが、広島蔦屋書店では、「大人のためのよみきかせ」を月に2回ほど開催していました。来ていただいた方が、「読んでもらうと嬉しいもんですね」とおっしゃられていたことがとても印象的でした。私もスタッフが読んでくれた絵本を聞いていましたが、読んでもらうと、読んでくれる人の声が一番に耳に入ってきます。そのあとで筋書きが入ってきてそれを心や脳でゆっくり解釈していきます。しかし自分が読む側だと、まず頭のなかで内容を言葉にすることが一番になるので、そんなふうにゆったりと心で感じることができないのです。だから読んでもらうって、すごく安心というか穏やかな時間を過ごせるというか、いいなと感じました。
 
絵本を読んでもらう子どもの気持ちを知ると、私たちは絵本を読むことがもっと楽しくなるかもしれません。私たちが楽しいと、読んでもらう子どもと一緒に心豊かに楽しい時間を過ごせるのだと思います。そんなふうに、絵本が架け橋となって親子の心と心が通い合ってくれることを願っています。
 

【夏のおすすめよみきかせ絵本】
0、1、2歳
『きんぎょがにげた』五味太郎/福音館書店
『おばけがぞろぞろ』佐々木マキ/福音館書店
『はっぱのおうち』征矢 清、林明子 絵/福音館書店
3、4歳おすすめ絵本
『にじいろのさかな』マーカス・フィスター、谷川俊太郎 訳/講談社
5,6歳~小学生おすすめ絵本
『おこだでませんように』くすのき しげのり、石井聖岳 絵/小学館
 
 
 
宮本 陽子(みやもと ようこ)
Kidsコンシェルジュ
保育科卒業。保育士として広島市の保育園に勤務。
21年勤続の後、保育士時代に毎日読み聞かせをして培った絵本の知識を、リアルタイムに子どもたちそして親たちへ伝えられたらと思い、2017年広島 蔦屋書店に入社。入社してからも「へいじつのよみきかせ」で平日は毎日1日1回、ほぼ毎日絵本を読んでいる。
「0歳から就学前の子どもたちの好きな絵本」、「親が子どもにぜひ読んであげてほしい絵本」、「おとなの気持ちを癒す絵本等」等、多様な児童書というジャンルのなかでも特に「絵本」が持つ魅力を提案し続けている。
 

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