へいじつのよみきかせ〜親と子の時間〜「あなたのなまえを」

 
今年も残すところあと1か月となりました。びっくりするくらい1年があっという間に過ぎていきますね。ビックリを通りこして、恐怖を感じてしまうのは私だけでしょうか。
「今年もいろんなことがあったなあ」と、1年を振り返りながら毎年のごとく思うこと。頑張った自分を労ってあげるには、どんなことであれ少しでも自分のプラスになったなと受け止めることができたらいいですね。
 
命を授かり、あかちゃんが産まれるのを楽しみに待つ間、ママやパパはどんな10か月を過ごしましたか?ベッドやお布団、季節に合ったベビー服や肌着、哺乳瓶やベビーカー…あかちゃんをお迎えするための準備に大忙しの10か月だったことと思います。そして絶対に欠かすことのできない「名前を考える」大仕事が、その期間、パパとママにはあるのです。「名前」は、親が、産まれてくるわが子へ贈る初めてのプレゼント。そう、責任重大なのですよ。
 
みなさんは、自分の名前の由来を知っていますか?
わたし自身の名前の由来といえば、あまり嬉しくないエピソードだったことしか覚えていません。大人になった今でもそんなふうに感じ続けているというのは、相当ショックだったのでしょうね。だからわが子には絶対そんなふうに思ってほしくないなと思って、2人の子どもにはとても大切に名前を考えました。音の響きや漢字の字画、呼びやすいかどうか、呼んだ時のイメージなど。みなさんもきっとたくさん考えて、名前を決めることに時間を費やしたことでしょう。わが子の人生のスタートからラストまでを寄り添ってくれる「名前」を決めるということは、とても責任がありますし、とても幸せな時間だったことをわたしは今でも覚えています。
 
子どもとよく名前についての話題になります。
こんな名前がよかった、こんな名前がオシャレだとか…。おとなに近づきつつある娘のことを、「本当に好き勝手に言ってくれるわ」とあきれながらも、わたしはいつも娘に同じ話を繰り返し伝えます。産まれてくるあなたを待っている間、いろんな名前を考えては口ずさんだこと、ぴったりの気に入った名前を思いついたときの喜び、こんな人生を歩んでほしいなと思ったことなど、何度も。親が勝手につけた名前だから、子どもは反論もあるかもしれませんね。しかし、あなたの名前をそう決めた理由をしっかりと話してあげることで、自分を大切に思ってくれていたんだと知ってほしい。こんなに時間をかけて大事に大事に考えたあなたの名前を、これからも大切にしてほしい。親はそう願うのではないでしょうか。子どもが成長し大人になる頃かもしれませんが、きっとその気持ちが伝わるといいなと思います。
これをきっかけに、お子さんやご家族と「名前」について話してみませんか?そのエピソードは、世界に1つだけのすてきなクリスマスプレゼントになると思います!
 
 

【今月のおすすめ絵本】
『あなたのなまえを』大塚健 ももろ 絵 / マイクロマガジン社
 
 
[あらすじ]
クマのお母さんは大きなおなかを抱えて、わが子へ贈るぴったりの名前を考えながら、空を眺めたり鳥のさえずりを聞いたり、自然の中を散策しています。それはとても穏やかで幸せな時間。きっとステキな名前を思いつくでしょう。
 
[読み方アドバイス]
みんな1つしか持ってない自分だけの大切な名前。子どもが思いを巡らせるのと同じスピードで、寄り添いながら読んであげてほしいと思います

 
 
 
宮本 陽子(みやもと ようこ)
Kidsコンシェルジュ
保育科卒業。保育士として広島市の保育園に勤務。
21年勤続の後、保育士時代に毎日読み聞かせをして培った絵本の知識を、リアルタイムに子どもたちそして親たちへ伝えられたらと思い、2017年広島 蔦屋書店に入社。入社してからも「へいじつのよみきかせ」で平日は毎日1日1回、ほぼ毎日絵本を読んでいる。
「0歳から就学前の子どもたちの好きな絵本」、「親が子どもにぜひ読んであげてほしい絵本」、「おとなの気持ちを癒す絵本等」等、多様な児童書というジャンルのなかでも特に「絵本」が持つ魅力を提案し続けている。
 
 

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