へいじつのよみきかせ〜親と子の時間〜「子育て」

 
Kidsコンシェルジュが提案する絵本を軸とした親と子の過ごし方。
今回はシンプルに「子育て」をテーマにお送りします。

 
あけましておめでとうございます。
あっ…というまに2023年が終わりました。みなさんはどんな1年を過ごしましたか?子どもの成長をたくさん感じられた嬉しい1年でしたか?いやいや、やり残したことがある人もいるかもしれません。でもそれでも大丈夫です。2024年もあっという間に過ぎていくのかもしれませんが、心には余裕を持って、自分と向き合い子どもと接していけたらそれで大丈夫!
 
さて、「子育て」といってもとても幅の広いテーマです。
 
2つのエピソードを紹介します。
1つ目は、この間親と子のフロアで1冊の本を手にしてわんわん泣いている子どもさんがいたんです。
「買わないよ」と言われてしまったのか、「もう行くよ」と置いて行かれてしまったのかわからないのですが、とても大きな声でした。少し様子をみていたら、お父さんが一生懸命説得しています。いいなと思ったのは、そのお父さんは全然怒らないということ。でもその子どもさんは泣き止まないし、抱っこして連れていこうとしても本を絶対に放さないのです。困ったお父さんは、お母さんとタッチ交代。驚いたことに、お母さんも全然大きな声を出さず、淡々と言って聞かせます。全然怒らない。
これを見ていて、「私なら絶対にいいかげんにしなさいと無理やり本をとりあげて、泣きわめく子どもを抱っこしてその場を去るな…」と考えました。なんなら、今日は休みの日で、この後もあれも見に行きたいし、おやつも食べに行きたいし、ここで時間を使いたくない…そんな思いが頭をよぎります。
しかし、そのお母さんは、じっくり子どもと最後まで向き合いました。それを嫌な顔1つしないで、待っていてくれるお父さんとお兄ちゃん。その子どもさんは、泣きながらも自分で本を手から放してお母さんに抱っこされながら、帰っていきました。
私は、その親御さんたちがどんな声をかけていたのかまではわかりません。素晴らしいと思ったのは、子どもへの時間のかけ方や気持ちのゆとりです。
この後の予定なんて全く考えてなかったと思います。今、目の前で泣いているわが子にきちんと向き合う「気持ちのゆとり」にとっても感動してしまいました。なかなかできないですよ。子どもが小さいうちの子育て中は特に。すてきな子育てを見て、とっても嬉しくなりました。
 
もう1つも嬉しいエピソードです。
へいじつよみきかせに来てくれた2人兄弟のお子さんとお父さん。お兄ちゃんは5、6歳くらいのすこし大きいお兄ちゃんだったので、少し恥ずかしそう。
「パンダおかおたいそう」や「おおきなかぶ」などを読んだのですが、子どもと一緒に見ているお父さんのほうが楽しくなってきちゃったようで、絵本にあわせて一緒に表情をつくってみたり、子どもさんとスキンシップを図ってみたりとテンションが上がっています。そんなお父さんにつられるように、お兄ちゃんの緊張もいつの間にかとけていました。よみきかせの後でそのお父さんとお母さんとお話をしたのですが、お父さんがその日に読んだ「おおきなかぶ」と同じ白い洋服、子どもさんはその日に読んだ「パンダおかおたいそう」にでてきたかばさんと同じ色の洋服だったので、登場人物になりきって楽しんでいただいていたことをお伝えすると、「えっ?」と自分の洋服を見て大笑いしていらっしゃいました。
 
これも、気持ちのゆとりだなと感心しました。絵本は子どもが楽しんだらいいんよ…そんなふうに感じておられる方もたくさんいらっしゃいますから、こんなふうに思いっきり楽しんでくださる大人の方がいると、私たちもとても楽しいですし気持ちも盛り上がります!子育てに正解はありませんが、こんなふうに感じながら子育てをしているのなら、それは正解ですね。
「楽しい」「子どもがかわいい」「成長がうれしい」「おもしろい」「一緒にいたい(一緒にしたい)」
もちろん、「不安」や「心配」があるのは当たり前。それも、子どもを愛しているからこそ感じることです。もしも、これ以外のマイナス感情が気持ちの多くを占めているなら、それは一刻も早く解決策を考えるべきです。
 
1年の始まりに抱負を語るような気持ちで、「時間や気持ちにゆとりを持って子どもと接してみようかな」と心に決めてみませんか?
まずは、先ほどお伝えしたようなプラスの言葉を口にすることから始めましょう。子どもの顔を見ながら伝えましょうね。でももし、まだできないなと思ったら、心の中で言ってください。それだけでも子どもに対する気持ちは必ず変わります。子どもは親の表情、声色、雰囲気をすぐに感じ取ります。だから、きっと素直に受け取ってくれます。
 
仕事で忙しかったり、子どもを見ているとイライラしちゃったりという親御さんなら、今回おすすめ絵本で紹介している「交換ノート」を使ってみるという手もあります。これの良い点は感情的にならずにすむこと。穏やかな気持ちのまま、素直な気持ちで子どもとやり取りができるので、スタートにはおすすめです!子どもとの心が少し近づいてきたなと感じたら、顔を見ながら会話をしてみるといいと思います。
 
どんな方法でもいいので、子どもと一緒にいるときにプラスの感情でいられるようになると、子育てはうんとラクになります。しんどいよりラクなほうが絶対良いに決まっています!
 
「楽しい」
「子どもがかわいい」
「成長がうれしい」
「おもしろい」
「一緒にいたい(一緒にしたい)」
 
どれか1つでもいいので言葉にすることで、気持ちにゆとりをもって今年からスタートしてみてください!今、目の前にいるわが子には、明日にはもう会えません。あっという間に大人びていき、あどけない今のわが子はすぐにいなくなってしまうんですから…わが子との「今」を大事に大事にしていきましょうね!
 
 

【今月のおすすめ絵本】
『OYAKO NOTE ー親子の交換ノートー』いろは出版
 
 
[おすすめポイント]
子どもとなかなか今日1日の出来事を話す時間がない、という忙しい親と子どものための交換ノート。上手に書こうと思わなくていいので、親も子も自由に楽しく書きましょう!それが心が伝わるコツだと思うのです。
対象年齢:4歳~7歳
(同シリーズに7歳~10歳を対象にした交換ノートもあります!)

 
 
 
宮本 陽子(みやもと ようこ)
Kidsコンシェルジュ
保育科卒業。保育士として広島市の保育園に勤務。
21年勤続の後、保育士時代に毎日読み聞かせをして培った絵本の知識を、リアルタイムに子どもたちそして親たちへ伝えられたらと思い、2017年広島 蔦屋書店に入社。入社してからも「へいじつのよみきかせ」で平日は毎日1日1回、ほぼ毎日絵本を読んでいる。
「0歳から就学前の子どもたちの好きな絵本」、「親が子どもにぜひ読んであげてほしい絵本」、「おとなの気持ちを癒す絵本等」等、多様な児童書というジャンルのなかでも特に「絵本」が持つ魅力を提案し続けている。
 

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