へいじつのよみきかせ 絵本『どうぞのいす』

 
Kidsコンシェルジュが提案する絵本を軸とした親と子の過ごし方。
今回は、絵本『どうぞのいす』をテーマにお送りします。
 
季節はあっという間に秋になりました。夏の暑さが強烈すぎて、昨年はいつまでも暑かった記憶がありますが、今年はすっかり朝晩涼しくなり秋の気持ちよさを感じます。しかし、子どもにとっても寒暖差は大敵。体調を崩す原因になります。夏の疲れも相まって体力が落ちていますので、家族でゆっくり過ごす休日も作ってみてはいかがでしょうか。
さて、9月はコラムをお休みして遅い夏休みをいただいていました。今月からまたコラムを再開し、おすすめの絵本を紹介していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!
 
秋といえば、必ず思い浮かべるのがロングセラー絵本『どうぞのいす』。
ウサギさんが作ったイスは親切な気持ちがたくさん詰まったイス。みんなに腰かけて休んでもらいたいので、「どうぞのいす」と立て札も。そこへやって来たロバさんが、イスに腰かけるのではなく、持っていたどんぐりのかごをイスの上に置いて木陰で眠ってしまうところから、次々やって来る動物たちの親切が始まります。
この絵本は1981年に刊行されていますので今年で44年。作者の柿本幸造さんは広島で生まれた絵本作家で、生誕100年を超えています。柿本さんの描くとてもかわいい挿絵は、ロングセラーなのにレトロという言葉もどこか違っているような穏やかで優しい雰囲気。優しい気持ちが育まれるストーリーとぴったりで、見る人をほっこりさせてくれるから、私はこの絵本がずっと大好きなのだと思います。
 
今、子どもを育てる環境は、防犯や危機管理を怠ることができない時代です。親の不安も昔とは比べものにならないほど大きいでしょう。そんな中で、絵本のように「人の優しさに触れる機会」を確保するにはどうしたらいいのでしょうか。答えを見つけることが難しい世の中にどんどんなってきているようにも感じます。
しかし、これから生まれてくる子どもにも人の優しさを伝えることができたらと願います。『どうぞのいす』のように。
そのために、1つできることを思いつきました。
自分を大切にすること。子どもがそう感じることができるように、親は「大切な存在であること」を伝えること。誰かを大切にすることにつながる一番の近道だと私は思います。
 
自分がしてもらって嬉しかったことは、相手も嬉しいかもしれない
自分が言われて嬉しかった言葉を、自分も誰かに言ってみよう
 
子どもがこんなふうに感じてくれたら、とても嬉しいですね。
「わが子が小さいときに読んでたな」「小さいときに読んだけど、どんなお話だったかな」と思われたら、ぜひもう一度手に取って読んでみてください。
秋の夜長に、きっと心が温かくなります。

 
 

【今月のおすすめ絵本】
『どうぞのいす』
香山美子、柿本幸造 絵
 / ひさかたチャイルド
 
 
【あらすじ】
うさぎさんが作ったイスは親切な気持ちがたくさん詰まったイス。みんなに腰かけて休んでもらいたいので、「どうぞのいす」と立て札を立てました。そこへやって来たロバさんが、イスに腰かけるのではなく、持っていたどんぐりのかごをイスの上に置いて木陰で眠ってしまったところから、次々やって来る動物たちの親切が始まります。
 
【読み方アドバイス】
子どもは繰り返しのある絵本が大好きです。「つぎはだれがやってくるのかな?」子どものドキドキと、「ほら、きた!」子どもの発見を大事に受け止めてあげてください。秋の美味しいものもたくさん登場しますので、親子で一緒に季節を感じてみては。
3才~。

 

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