へいじつのよみきかせ〜親と子の時間〜「ハサミや包丁いつから持たせるの?」

 
Kidsコンシェルジュが提案する絵本を軸とした親と子の過ごし方。
今回は「ハサミや包丁いつから持たせるの?」をテーマにお送りします。
 
新しい生活がスタートし、ほっとしている方も少し疲れが出ているかなという方もいらっしゃると思います。少しずつゆっくりと、自分をいたわりながら過ごしていただきたいなと思います。
さて、今回は子どもが身近な道具をいつから上手に使えるようになるのかということについてお話してみようと思います。
一般的にハサミやお箸は3歳から、色鉛筆や鉛筆は3、4歳から、包丁(刃のついていないもの)は5歳くらいからというふうに言われていますが、実際に、手や指先の動きが分化して器用に動くようにならなければ道具を上手に使いこなすことは難しいので、私はあまり年齢は関係ないように感じています。
 
以前テレビで、5歳の子どもが親を見よう見まねで何度も繰り返し練習するうちに魚を上手に3枚におろすことができるようになったという話題を紹介していました。私は魚をさばくことができないので、単純に、すごいなー…なんて思いながら見ていた記憶があります。しかしよく考えてみると、この子どもさんは年齢はあまり関係なく、ただその時に興味を持ったことをすぐに経験させてもらえる環境があったんですね。「刃がついた包丁はあぶないからまだ早い」なんてレベルの話ではないのです。
このことからもわかるように、子どもが興味を持った時が始め時です。早くから身近な道具を使い手先が器用になると、脳の働きも活発になります。頭の回転が早くなり、さらなる言語の発達にもつながっていくでしょう。けがが心配なら、できるだけ目を配ってあげればいいと思いますし、少しくらい失敗したほうが成功の喜びを経験することができると思うのです。そういう意味では、親がしていることに早くから興味を持つということは子どもにとってとても良い影響を及ぼすことがわかります。
 
では、興味と意欲だけで子どもは上手に道具を使いこなせるようになるのでしょうか。
子どもの遊びのなかには、指の1本1本をバラバラに動かす微細運動を促す遊びがあります。シール貼り(シール剥がし)やあやとり、粘土あそびなどがそれにあたりますが、それらは子どもが成長するうえでとても重要な遊びです。子どもは少しやってみただけですぐに上達しますから、そういった遊びを早くから意識して環境を作ってあげるといいと思います。遊びの環境も含め、子どもが常に「たくさんの経験」ができる場所を、大人が用意してあげているかどうかが1番大切なのかなと思います。
 
しかし、子どもはケガがつきものです。
「いろいろさせてあげたいけど、やっぱりけがをしないか心配…」
私もとても心配症なママでしたので、その気持ちは痛いほどよくわかります。しかし、
今、販売されているハサミや子ども用の包丁などは改良を重ね、安全性に優れたものがとても多いのです。シンプルな道具そのものを使いこなす技術を習得してほしいのが本意なのですが、個人差や経験の頻度に応じたものを選ばれるのが与える親ごさんにとっても、使う子どもにとっても良いのではないかと思います。そして、さらに「自分だけのハサミ」というように特別感を持たせてあげると、もっと上手に使えるようになりたい!と、意欲が出てくるのもとても嬉しいですよね。慣れるまでは、ぜひ親御さんの余裕のある時間に目の届く範囲で使えるように子どもと約束をしましょう。
 
子どもの可能性を伸ばすということを考えるうえで、親御さんの意識はとても重要です。子どもの「やってみたい!」を受け止めることは、子どもの個性を伸ばすことにつながっていきます。子どもが自信をもってできることを、どんどん増やしていってあげたいですね。
 
 
【おすすめ絵本】
『ぼくのはさみ』
せな けいこ作絵/金の星社
 
 
[あらすじ]
ハサミが大好きなぼくは、なんでも切っちゃうハサミ名人!ある日、大事なハサミがなくなっちゃった!ハサミのことなら、まず聞いてみるのは誰でしょう…?周りの人のやさしさや物を大切にすることを教えてくれるお話です。「やってみたい!」という気持ちになれるかも!
 
[読み方アドバイス]
どんなものでも、子どもにとっては宝物のように大切にしているものがありますね。心配してくれる周りの人や「ぼく」の感情に寄り添いながら読んでみて。

 
 
 

 
 
宮本 陽子(みやもと ようこ)
Kidsコンシェルジュ
保育科卒業。保育士として広島市の保育園に勤務。
21年勤続の後、保育士時代に毎日読み聞かせをして培った絵本の知識を、リアルタイムに子どもたちそして親たちへ伝えられたらと思い、2017年広島 蔦屋書店に入社。入社してからも「へいじつのよみきかせ」で平日は毎日1日1回、ほぼ毎日絵本を読んでいる。
「0歳から就学前の子どもたちの好きな絵本」、「親が子どもにぜひ読んであげてほしい絵本」、「おとなの気持ちを癒す絵本等」等、多様な児童書というジャンルのなかでも特に「絵本」が持つ魅力を提案し続けている。
 

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