へいじつのよみきかせ〜親と子の時間〜「じぶんを好きになる」

 
Kidsコンシェルジュが提案する絵本を軸とした親と子の過ごし方。
今回は「じぶんを好きになる」をテーマにお送りします。
 
朝夕が涼しくなり、秋空に美しさを感じられる季節になりました。お子さんとゆっくり過ごす時間の中で、夏の疲れをとっていただきたいと思います。
たとえば、用事がなくても、涼しい時間にふらっとお散歩にでかけるだけでも気持ちいいし、秋は子どもが喜ぶいろんな発見があります。トンボが飛んでいたり、いろんな形のドングリが転がっていたり、心地よい風に揺れるお花を見つけたり…。ぜひ子どもと同じ目線で秋を感じながら、気持ちを通わせてみてほしいです。忙しい毎日の中、懐かしい気持ちになれる瞬間と出会えそうですね。
 
さて、今回のテーマですが、『わたしとなかよし』という絵本をご存じですか?
ある人からこの絵本を紹介していただき、私はすぐに好きになりました。なんといっても、超絶ポジティブな主人公のぶたちゃんにびっくりです。彼女は自分自身ととっても仲良し!自分のことが大好きだから、自分の体も、気持ちも、やりたいことも全部大事にするのです。読み終わってすぐ、私の気持ちがポジティブになっているのを感じました。絵本の中の彼女のように、「朝起きて鏡を見て、今日もかわいいねって言ってみようかなあ」と娘にいうと、好きにすれば…みたいなリアクションでしたが(笑)
でも、それも自分のことを好きになるための方法であり、誰にとやかく言われることでもないです。そんなふうに改めて感じさせてくれた絵本でした。
 
突然ですが、わが子は「自分のことが好きって思えてるかな?」と考えてみたことはありますか?
自己肯定感を育てるといいますが、「あなたのこんなところがすごいし、大好き!」と大人が声に出して伝えてあげるのはもちろん、子どもに「自分のどんなところが好き?」とぜひ聞いてみてほしいと思います。小さい子はなかなか答えられないかもしれないけど、「顔!」とか「足が速いところ!」とか漠然としたものを答えたとしても別に構わないのです。こういう質問をされることで、子どもが「自分は自分のどこが好きなんだろう」と気になり始めるきっかけを作ることが大切。
先に紹介した『わたしとなかよし』では、自分が自分のためにしてあげる理由は「わたしが大事だから」。虫歯になるから歯をみがくんじゃなくて、お風呂にはいりなさいって言われるからお風呂に入るんじゃなくて、「わたしはわたしをだいじにするの。だからはみがきもするよ。からだもきれいにするよ」(本文)。それが理由。とてもステキじゃないですか?
自分を大事にするということは、「自分を傷つけない」「善悪なら善を選択できる力を身につける」ことにつながっていくのではないでしょうか。そして、子どもの気持ちがそこに向くためには、やっぱり、気づかせてくれる大人のサポートが欠かせないのです。
 
もう1つ良いことがあります。
自分のことを大事にできる子どもは、相手のことも大事にできます。何かを大事にする気持ちを知っている子どもは、自分じゃない人のことも大事にすることができますね。そんな優しい心が育ってくれたらとても嬉しいです。
 
思春期のお子さんや反抗期のお子さんを持つ親御さん、まだ全然間に合います。大人の私でさえも心が打たれてしまったんですから。
自分自身を大事にできる、どんな自分も大好きでいられる、そんなステキな「わたし」を持った大人へと成長していってほしいなと思っています。

 

【今月のおすすめ絵本】
『わたしとなかよし』ナンシー・カールソン なかがわちひろ 訳/瑞雲社
 
 
[あらすじ]
どんなときもわたしはいつもわたしと一緒。ちいさな足も、まんまるおなかも、くるくるしっぽもみんなだいすき。しっぱいしたって、へっちゃら。
そんな主人公のポジティブな姿に心が元気になります。自分のことが大好きになる絵本。

 
[読み方アドバイス]
子どもだけでなく、ストレス社会を生きる女性(もちろん男性も)へのバイブルとしてもおすすめです。心を元気にしてあげましょう!

 
 

 
 
宮本 陽子(みやもと ようこ)
Kidsコンシェルジュ
保育科卒業。保育士として広島市の保育園に勤務。
21年勤続の後、保育士時代に毎日読み聞かせをして培った絵本の知識を、リアルタイムに子どもたちそして親たちへ伝えられたらと思い、2017年広島 蔦屋書店に入社。入社してからも「へいじつのよみきかせ」で平日は毎日1日1回、ほぼ毎日絵本を読んでいる。
「0歳から就学前の子どもたちの好きな絵本」、「親が子どもにぜひ読んであげてほしい絵本」、「おとなの気持ちを癒す絵本等」等、多様な児童書というジャンルのなかでも特に「絵本」が持つ魅力を提案し続けている。
 

SHARE

一覧に戻る