⑲ なにもしない時間を持つ
タイパという言葉があるらしい。タイムパフォーマンスの略で、できるだけ時間を効率的に使おうという姿勢を表す言葉だ。映画は倍速再生で、さらにタイパがいいのは、ファスト映画、さらにタイパがいいのはあらすじを読むだけ。映画というメディアの本質があらすじであれば、効率的だとは思うのだが、何かを失っている気もする。そこまではしないよという人でも、できるだけ、効率的にと工夫を重ねながら物事を進めている人は多いと思う。それでも、あふれてくる情報の処理が追いつかなくなることもあると思う。
そんな現代人におすすめなのがスズキナオさんの『遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ』という本だ。効率やタイパという言葉とは、ほど遠いムダの中にある豊かさを教えてくれる一冊。たまには空でものんびり眺めてみよう。