【コンシェルジュがつくるフェア】
江戸の町人文化を華開かせた本屋 「蔦屋重三郎」
2025年1月17日(金)より全国の蔦屋書店で開催している「蔦屋重三郎」フェアでは、蔦屋重三郎について多角的に知ることができる本をご紹介しています。今回、選書を担当したのは二子玉川 蔦屋家電 アートコンシェルジュの粕川ゆき。大河ドラマ好きでもある彼女がどのように本を選んだのか、また、「べらぼう」をどのように見ているかについて聞きました。
「蔦屋重三郎」フェアの詳細はこちら
※店舗により展開商品は異なります。
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二子玉川 蔦屋家電 アートコンシェルジュ 粕川ゆき

スポーツメーカーに勤務したのち、学生時代から通っていた書籍と雑貨の複合店に転職。その後、自ら立ち上げた店舗のない本屋「いか文庫」の活動を行いながら、都内独立系書店の店長を経て、2020年4月より二子玉川 蔦屋家電に勤める。本の楽しみをあらゆる方法で伝えたい一心で、日々邁進中。
“蔦重”を知らない方に、まずは知ってもらいたい

――どのように本を選びましたか?
今回のフェアを担当することが決まったのは昨秋ごろ。大河ドラマは毎年はまっているので嬉しかったです。私自身、蔦屋重三郎の名前は知っていましたが、どんな人物かは詳しく知らなかったので、まずは『蔦屋重三郎とその時代。』(CCCメディアハウス)を読むことから始めました。“蔦重”について知れたことはもちろん、彼が浮世絵に貢献した人物であることが分かったり、こうした文化が栄えた江戸の雰囲気に興味が湧いたり、蔦重が生まれ育った吉原について知る機会にもなると考えたりしました。
そこでまずは“知る”をテーマに、蔦重を知らない人に多角的に知ってもらえる本をご紹介できるといいのではないかと思いました。加えて、既にいくつか出ていて気になった蔦重にまつわる小説や、「べらぼう」を観るために読むべきものもおすすめしています。もともと私が好きというのもありますが、より多くの方に手に取ってもらいやすいよう、目で見て楽しいものを意識して選びました。
浮世絵や吉原、江戸文化も併せて楽しむ

――6つの小テーマ(「蔦重を知る」「浮世絵を知る」「江戸を知る」「吉原を知る」「小説で読む蔦重」「大河ドラマ「べらぼう」を観る」)ごとに、おすすめのタイトルを教えてください。

まず「蔦重を知る」では、私自身が最初に読んだ『蔦屋重三郎とその時代。』(ペン編集部 編、CCCメディアハウス)がフルカラーで分かりやすくまとめられていて、ビジュアルも楽しめるのでおすすめです。

「浮世絵を知る」で選んだ『百日紅』(杉浦日向子 著、筑摩書房)は蔦重が育てたと言われている葛飾北斎の娘が主人公の、私が個人的にもすごく好きな漫画です。浮世絵師たちと周りの町人たちの日常が描かれているのですが、作者が江戸時代を生きていたんじゃないかと思うくらいリアルに伝わってきて、自分自身もその場にいたような気持ちになれます。江戸に生きた浮世絵師たちの空気感をぜひ味わってもらいたいです。

「江戸を知る」では、江戸時代に使われていた単語をまとめた『イラスト・図説でよくわかる 江戸の用語辞典~時代小説のお供に~』(江戸の時代研究会 著、廣済堂出版)がおすすめです。江戸好きな方には有名な1冊なのですが、「べらぼう」の第1話で蔦重がこらしめられていた「桶伏せ」なども載っていますよ。ドラマを見て気になった言葉を調べていただくことで、よりドラマが楽しめると思います。

「吉原を知る」で選んだ『江戸吉原図聚』(三谷一馬 著、中央公論新社)は、吉原にまつわる浮世絵などを著者が模写してまとめたもの。白黒のすっきりした絵に、吉原のしきたりや情報がたくさん詰まっています。吉原がこんなにたくさん描かれていたんだなという驚きもあります。

「小説で読む蔦重」で紹介している『蔦重の教え』(車浮代 著、双葉社)は、現代の崖っぷちサラリーマンがタイムスリップして蔦重のビジネススキルを学ぶというお話です。蔦重はビジネスをするために文化人にのなかにうまく入り込んだり、既にあった本に浮世絵を加えて付加価値を付け再出版したりするなど、ビジネスという観点からも今に通じるスキルを持った学ぶべきところが多い人物。名言集はじめビジネス本も多数出ていますが、これは小説なのですっと入ってくると思います。

「大河ドラマ「べらぼう」を観る」でおすすめしたいのは『NHK2025年大河ドラマ べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ THE BOOK 1』(東京ニュース通信社)。私が一番好きな東京ニュース通信社のガイド本です。東京ニュース通信社は毎年、大河ドラマが始まる前にガイド本を出しているのですが、写真がとにかく美しくて、今回も素敵で見惚れてしまいました。各回の名シーンがまとめられていて、目で楽しみながら知識も得られますし、ドラマの裏側を知ることもできます。シリーズものなので、次号以降もぜひ楽しんでいただきたいです。
知識欲が無限に広がるのが大河ドラマの魅力の1つ

――放送が始まった「べらぼう」は、どのように見ていますか?
同じ本屋としてどのように描かれるのか楽しみに思っていました。また、ここ最近は紫式部や徳川家康など有名どころが続いていたので、「なぜ今、蔦重なのか」という意外性があり、着眼点がおもしろいなと思っていました。歴史は好きなのですが、この時代について詳しくはなかったので、新しい知識が得られることにわくわくしています。
大河ドラマは放送を見た後、専門家による解説やスタッフブログなどを読むのも楽しみの1つです。第2話の平賀源内のセリフ、「あのさ、俺、男一筋なのよ。」には驚きでしたが、ストーリーとしてとても納得感がありました。知っていこたとと知らなかったことがつながる瞬間が楽しく、知識欲が無限に広がるのが大河ドラマの魅力の1つだと思います。
まだ2話までの段階ですが、蔦重という町人をメインに、町人文化と政治、それぞれに様々な課題を抱えていることが描かれており、かなり壮大な内容になっているのではと思います。これからどう話がまとまっていくのか楽しみですし、葛飾北斎を誰が演じるのかも気になっています。
江戸の町人文化を華開かせた本屋 「蔦屋重三郎」フェア
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