【本のBATON Vol.1】かろやかに読むを愉しむ|アートコンシェルジュ 山下

 かろやかに読むを愉しむ
 
おうち時間の日々が続く今、「こんな時こそ本を読もう」という方も多いのではないでしょうか。
 
普段はなかなか読めないハードルが高い本や、仕事に役立つ実用書、教養本も良いけれど、ページをめくるたびに思わず笑みがこぼれるような、心地よさをくれる本にも、ぜひ手を伸ばしてみてください。
 
普段私はアートを担当していますが、今回は少しアートを離れて、読めば心が軽くなるエッセイやミステリー、恋愛小説を選んでみました。
 
『買えない味』 平松洋子/著 筑摩書房
 
平松洋子さんの文章は潔くてとってもかっこいい。
ぐいぐい読ませる気持ちいいリズムと「包丁でキャベツをざくざく、玉ねぎのみじん切りトントン、カボチャをざっくり。」と音に溢れていて、自然と台所に立ちたくなってしまうんです。
ありふれた食材や調理道具が特別な存在に思える、日常が楽しくなる料理エッセイです。
 
『ボタニカル・ライフー植物生活ー』 いとうせいこう/著 新潮社
 
ベランダの芸術家・いとうせいこうさんの植物愛満載のエッセイ。
マンションのベランダで、時には部屋の中で、「俺(いとうさん)」と「やつら(植物)」の繰り広げる日常は、単なるほのぼのとした癒しの日々ではなく、生きるか死ぬかのハードボイルドな戦いで、だからこそ愛が深い。
そして、そのやり取りが真剣であればあるほど笑えてしまうのです。
 
『黒いハンカチ』 小沼丹/著 東京創元社
 
A女学院の女性教師、ニシ・アズマがひょんなことから遭遇した謎を解くミステリー小説。
学校での空き時間にこっそりと午睡を楽しむ彼女は、謎を見つけた瞬間に謎を解いてしまう名探偵なのです。
飄々と謎に立ち向かう主人公、ドラマの名脇役のような登場人物たち、お話全体に漂うクラシックな雰囲気が読書の醍醐味を感じさせてくれます。
 
『一日江戸人』 杉浦日向子/著 新潮社
 
江戸といえばの杉浦日向子さんによる、楽しい江戸の案内書。
お金が無くてもユーモアたっぷりにその日暮らしを楽しむ庶民のタフネス、「本当に快適なのかな?」と少し疑ってしまう殿様暮らし、笑いと絵師の技量を味わう春画などなど、江戸のかろやかさが詰まった一冊です。
 
『春情蛸の足』 田辺聖子/著 講談社
 
「美味しいもの×恋愛」は女性のものと思っていたけど、『春情蛸の足の』はすべて男性が主人公の食と恋の短編集です。
いわゆる「おじさん」のちょっぴりトホホな恋愛が、美味しい料理と相まって、こんなにも情緒豊かになるとは・・。
お腹を「ぐぅ~」と鳴らしながら、恋する楽しさと切なさを味わってください。
 
 
プロフィール:アートコンシェルジュ 山下
徳島県出身。一般企業に就職するも「アートと本にかかわる仕事がしたい」と京都のギャラリーでインターンをしながら、大阪千日前の書店でアルバイトを始めました。「アートと本が一緒にある空間を作りたい」と考えるようになった頃、たまたま梅田 蔦屋書店ができることを知り、コンシェルジュに応募して現在に至ります。アートももちろん大好きですが、読書は専らSF小説やミステリー、海外小説、ときどき料理エッセイ。
 
コンシェルジュをもっと知りたい方はこちら:梅田 蔦屋書店のコンシェルジュたち

「本のBATON」は梅田 蔦屋書店コンシェルジュによる書籍・雑貨の紹介リレーです!
一つ目のバトンはアートコンシェルジュがお送りしました。次のバトンもお楽しみにお待ちください。
 
 
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