【コンシェルジュのコラム】ディックブルーナの魅力|アートコンシェルジュ 松島

梅田 蔦屋書店にはそれぞれの分野に特化した知識をもったコンシェルジュや売場担当者がたくさんいます。担当するジャンルについてはもちろん、本のこと、日々のこと、それにも当てはまらない❝まさか❞のことまで、一人ひとりの個性を大切にしながら紡ぐ、コラムのコーナーです。第二回目はアートコンシェルジュ松島がお送りします。
 
 
 
 ディック・ブルーナの魅力
 
オランダ語で『ナインチェ・プラウス(Nijntje Pluis)』という名前で活躍するキャラクターをご存知でしょうか?日本では最初は『うさこちゃん』と呼ばれていました。

もう、お気づきですよね!世界で愛されるミッフィーです。
 

『ちいさなうさこちゃん』
ディック・ブルーナ 文・絵 / 石井 桃子 訳(福音館書店)
 
―― 『ちいさなうさこちゃん』から『ミッフィー』へ
 
『ミッフィー(Miffy)』という名前は「ナインチェ・プラウス」の英語版が1960年にイギリスで出版された際につけられた名前です。
日本では1964年、日本語版の出版にあたり『ちいさなうさこちゃん』というタイトルがつけられ、その後1979年に講談社から発刊されたものに『ミッフィー』という略称がつけられました。
 
その生みの親が絵本作家であり、イラストレーター、デザイナーのディック・ブルーナ氏です。
 
ディック・ブルーナ氏の幼少期は絵が好きなおとなしいタイプの少年で、いつもスケッチブックに絵を描いてはそれを大切にしていました。
また、父親が出版社を経営していたこともあって、さまざまな本を読み親しみ、 レンブラントやファン・ゴッホの画集に触れ、鮮やかな色彩や画法に強い衝撃と感銘を受け、画家になりたいという夢を持つようになりましたが、父親は当然ながら出版社の後継者を希望しました。
 
出版社を継ぐためにオランダ、イギリス、フランスへ出版社の研修に参加し、出版のいろはを学びましたが、研修の合間には美術館や画廊を精力的にまわり、特に影響を受けたのはフェルナン・レジェやアンリ・マティスといった現代芸術家たちの作品でした。ディック・ブルーナ氏がそれまで抱いていた絵画のイメージを大きく覆すほどの強い衝撃とインスピレーションを受けたそうです。 そして彼自身もスケッチブックを手に街の様々な風景をスケッチし、油絵にして行きました。 
 

ディック・ブルーナを知ることができる様々な書籍
 
 
―― シンプルな絵ほど誤魔化しが効かない
 
20歳になったディックはオランダに戻り、父を説得しアーティストとしての道を歩むこととなりました。 その後はアーティストとしての方向性を探る日々が続きました 。本格的に絵を学んだことのなかったディックは、アムステルダムの国立美術アカデミーに入学するものの、方向性の違いから退学し、その後、様々なアーティストの画法を研究し、アンリ・マティスや、レイモン・サヴィニャック、カッサンドルたちのシンプルな線、鮮やかな色で構成された作品を研究し、自らのデザインスタイルを確立させて行きました。
 
ミッフィーしかご存じない方はシンプルな絵で誰にでも真似ができるイラストと認識されている方が殆どですが、シンプルな絵ほど誤魔化しが効かない究極の絵です。余分な物を全てそぎ落とし、見る人にイマジネーションを働かせるもの。

ミッフィーの魅力はシンプルさ!色もシンプルでたったの6色で表現されています。また、正面のキャラクターしか描きません。正面の絵は見ている人に安定感を与えます。小さな正方形の絵本の形は子供がもちやすいため……色々あげればキリがありません。
 

ディック・ブルーナが使う6色。その秘密とは?
 
実は使用している色にも一つひとつ意味があります。詳しくは『シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン』『ミッフィーからの贈り物 ブルーナさんがはじめて語る人生と作品のひみつ』をご覧ください。
 
こんな魅力的なミッフィーは2020年65周年を向かえます。是非、その魅力に触れてみて下さいね。
 

PROFILE|アートコンシェルジュ 松島
大阪生まれ。幼い頃から親に連れられ美術館巡りを重ね、気が付けば無類のアート好きに。親のコネで最初の就職はしたものの、ご縁があってギャラリストに収まっていましたが、出張が多く移動のお供はいつも書籍でした。気が付けば月に10冊は完読する本好きに。画集や写真集はもとよりビジネス書も沢山読みました。澁澤龍彦の『フローラ逍遥』と出会ったときに装丁の美しさ、美しい植物図譜、その図譜に添えられる心をそそる文章、何もかもが素敵で感動しました!作品集はどれもこれも良いですが、ギャラリスト時代に沢山の本物に触れた結果、最初に手に入れたのは『ホックニー』です。マイブームは『ソール・ライター』彼の写真には人生が感じられ郷愁を誘います。元画家で写真家で人生を終えた生き方はとても興味深い。
 
コラムをもっと楽しむ書籍・雑貨
『ディック・ブルーナ “ミッフィー"を生んだ絵本作家』
ブルース・イングマン、ラモーナ・レイヒル 著
北川玲 訳 / 河出書房新社
『誕生60周年記念 ミッフィー展 60 years with Miffy』
朝日新聞社
『Miffy First Light』
ご感想はこちらまで:umeda_event@ccc.co.jp
一覧に戻る

STORE LIST

ストアリスト