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広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.253『一汁一菜でよいという提案』土井善晴/新潮社

蔦屋書店・野津のオススメ『一汁一菜でよいという提案』土井善晴/新潮社
 
 
「今日の夕食は何にしようかな」
仕事が終わり食料品売り場へ行く途中で毎日考える。
冷蔵庫には何のお野菜が残っていたっけ。栄養バランスを考えるとお肉かお魚と、野菜はたくさん、しかも一汁三菜が理想的。
ちょっと遅くなっちゃったからササっと作れるものでいいかな。
だいぶ遅くなっちゃったからお惣菜買って帰ろう。
いつも手抜きでごめん。
 
毎日頭の中でぐるぐるぐるぐる…。
 
もともと料理は好きですが、毎日の食事作りにちょっと疲れている私の心をふわっと軽くしてくれたのがこの本です。
 
テレビでもおなじみの料理研究家・土井 善晴さんが日本古来の「一汁一菜」を通して現代日本の食文化の見直しを提言する『一汁一菜でよいという提案』。一汁一菜(本書ではご飯+具沢山の味噌汁として提案)の具体的な実践法を紹介しつつ、家庭料理の役割や食文化の変遷、自分で料理することの大切さなどを説いています。
一汁一菜とは、ごはんを中心として、汁(みそ汁)と菜(おかず)それぞれ一品を合わせた和食の原点ともいえる食スタイルです。
 
土井先生はこうおっしゃっています。

日々の食事は一汁一菜で十分。ご飯、味噌汁、お漬物等のおかず。味噌汁の具を工夫すればそれで日々の食事はまかなえる。
一汁一菜は手抜きではない。ご飯を炊いて味噌汁を作る。具沢山の味噌汁ならそれがおかずも兼ねる。お漬物があれば添える。それで十分真心のこもった料理だ。
パンにお味噌汁でもいいし、お味噌汁でご飯を煮込んで雑炊にする、そんな日もあって良い。
しかし、一汁一菜だからといってご馳走を食べないと決めつけるのではなく、いろいろな日があって良い。
 
そして本書には実際に土井先生が日頃召し上がっている一汁一菜の食卓の写真がたくさん掲載されています。それが確かにお味噌汁とご飯だけの食卓で、作るのは簡単そうで手抜きそうで、でも丁寧で美味しそうなんです。
 
お味噌汁の具をその時の旬のお野菜やお魚にして四季を感じること。毎日使うお茶碗をきちんと選び愛着を持って使うこと。改めて大切なことに気付かされました。
 
今日は何作ろうなんて考えなくてもいい。
おかずがないからって罪悪感に苛まれなくてもいい。
お米を研いで炊き、具沢山のお味噌汁を作る。それで十分だ。
最近寒くなってきたから、温かいお味噌汁で体も心も温まろう。
 
家族で囲む食卓には炊き立てのご飯と温かいお味噌汁。
「今日のお味噌汁は何が入っているかな。」
「今日はちょっと味が薄かったね。」
「明日は卵の入ったお味噌汁がいいな。」
そんな会話が身も心も温かくしてくれる一汁一菜の生活ができたらいいなと思うけど、実際に毎日が一汁一菜だと家族は不満に思うかもしれません。でも、そんな日もあって良いと思うと日々のご飯作りの負担が軽減されるのではないでしょうか。
 
 
 
 

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