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広島T-SITEの太鼓判BOOK3

 
いろいろなバックグラウンドを持つ20人に本を選んでもらいました。色とりどりの太鼓判。知らなかった本こそ手にとってください。新しい世界が広がるはずです。
 
 

 
 

 掲野麻由の太鼓判『深澤直人のアトリエ』
 大西一歩の太鼓判『一汁一菜でよいという提案』
 植松しんこの太鼓判『ひとりぼっちのあなたに 思い出復刻版』
 久保由美の太鼓判『ふたつめのボールのようなことば。』
 佐藤美和の太鼓判『 94歳セツの新聞ちぎり絵日記』
 柴田秀一郎の太鼓判『おかあさんの被爆ピアノ』
 ただかひろしの太鼓判『シュルツ全小説』
 長崎恵美の太鼓『チャルカの東欧雑貨買いつけ旅日記』
 中島裕紀の太鼓判『芹沢銈介の日本』
 南原尚幸の太鼓判『戦いの音楽史~逆境を越え 世界を制した20世紀ポップスの物語』
 庭田杏珠の太鼓判『モノクロの夏に帰る』
 伴野 智の太鼓判『ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義』
 藤井佳之の太鼓判『超個人的時間旅行』
 須賀紘也の太鼓判『野生のしっそう』
 山内章江の太鼓判『「エシカル革命」新しい幸せのものさしをたずさえて』
 吉冨 孝の太鼓判『イワン・イリッチの死』

 江藤宏樹の太鼓判『半暮刻』
 河賀由記子の太鼓判『小山さんノート』
 島津美穂の太鼓判『百実帖』
 宮本陽子の太鼓判『ちょっとだけ』

 
 

 

掲野麻由の太鼓判BOOK
『深澤直人のアトリエ』深澤直人/平凡社

 
2021年に完成したプロダクトデザイナー深澤直人氏の自宅兼アトリエについて綴られたエッセイ。深澤氏自らが設計したお家を覗けてちょっぴり得した気分になります。屋根、窓、家具…、深澤氏のデザインに対する思いやこだわりを項目ごとにご自身の言葉でやさしく語られていてとても読みやすい一冊です。これからお家を建てる人もそうでない人も、暮らしが豊かになるヒントが得られるかもしれません。本書に登場する深澤氏デザインのマルニ木工の家具にもぜひご注目ください。
 
掲野麻由_maruni hiroshima 副店長 インテリアが好きで地元企業であるマルニ木工に2017年に入社。マルニ木工の直営店 maruni hiroshimaで、お客様の暮らしのイメージにあった家具選びのご提案をしています。自宅ではG7広島サミットでも使用された弊社のHIROSHIMAアームチェア(深澤直人氏デザイン)を愛用しています。控えめに言って最高です。
 
 
大西一歩の太鼓判BOOK
『一汁一菜でよいという提案』土井善晴/グラフィック社
 
 
食品会社に勤めていた社会人一年目の頃、和食って難しい、ちゃんと栄養をとる食事って手間がかかる。 そんなふうに思っていた時に、この一冊と出会いました。 シンプルなご飯と具沢山のお味噌汁のセットで栄養も充分とれて、手間もかからないので時間の余裕も出てきます。 時間に余裕ができると良いお皿を探したり、盛り付けに凝ったりと料理を楽しむことができます。なにかと忙しい毎日ですが、楽しいなとか、綺麗だなとか、季節の変化を感じたりとかそういった感情を思い出させてくれる一冊です。
 
大西一歩_佐々木豆腐店の移動販売担当 北海道出身、大学ではデザインを学び卒業後は食品関係の仕事に就きました。食品会社でのサラリーマンやお米作り野菜作りなどの畑仕事を経て、今は佐々木豆腐店の移動販売を担当しています。趣味は料理とカメラ。豆腐や油揚げを使った美味しいレシピを考えて写真を撮るのが好きです。
 
 
植松しんこの太鼓判BOOK
『ひとりぼっちのあなたに 思い出復刻版』寺山修司 宇野亜喜良 画/新書館
 
 
大好きな宇野亜喜良先生の挿絵に一目ぼれしたのがこの本との出会いなのですが、文字を読み出したら言葉の紡ぎ方、表現に頭の中がどんどん広がっていきました。 文字から絵や音や匂いを感じることができる。そんな本だと思います。是非、頭を空っぽにして読んでみていただきたいです。
 
植松しんこ_イラストレーター
インテリアコーディネーター、設計を経て2010年よりフリーのイラストレーターとして仕事を始める。軽い水彩、線画からオイルパステルまで幅広く使用し雑誌、広告、雑貨などで活躍中。最近では陶芸による作品も発表している。
 
 
久保由美の太鼓判BOOK
『ふたつめのボールのようなことば。』糸井重里/東京糸井重里事務所
 
 
シリーズ3冊ある中で 2冊めがお薦めなのは やさしくてあたたかくておもしろいことばが多め、痛みを感じることばも少々、なところ。その痛みは自分の未熟さや至らなさからくるものなので、対面するのは嫌なんだけど 糸井さんのことばだとちゃんとしなきゃなと思えるから不思議。最近DJを始めて自分の未熟さとまさに対面中、葛藤中の私は ベタですが勇気と希望をもらえました。今からでも成長していきたい!これから新しく何かを始めようとするすべての人にお薦めです。
 
久保由美_主婦でパートで時々DJ
49歳でDJを始めた現在52歳の主婦
・ULTRAHAZE  毎月第2日曜日 21:00〜  bar edge にて開催
・基町ブロックパーティー 不定期 オルタナティブスペースコアにて開催



佐藤美和の太鼓判BOOK
『94歳セツの新聞ちぎり絵日記』木村セツ/里山社
 
 
表紙に目が止まり思わず手に取り、ふと思い出した。 前職の保育士の時、新聞をちぎりクラス全員で一つの作品を作ったことを。白黒の新聞紙の中から貴重な色を見つける嬉しさも。セツさんのちぎり絵の表現の工夫にアッと驚いたり、添えられた言葉にくすっと笑ったり、読み終わると心が温かくなる。読むたびに違う見方ができるからこそ、また面白い。一つひとつ小さなことでも積み重ねれば大きな力になる。“何歳になっても、どんなことにも挑戦できる!”と背中を押してくれる一冊。
 
佐藤美和_ドゥ・セー 広島T-SITE店 店長
本を読むことが好きになったきっかけは、広島 蔦屋書店。 仕事帰りに寄るとその日の気持ちに合った本と出会えます。 電子書籍も読んでみましたが、紙の温もりを感じながらページ をめくることのできる紙の本がやっぱり好きです。



柴田秀一郎の太鼓判BOOK
『おかあさんの被爆ピアノ』五藤利弘/講談社
 
 
この映画を2回観て小説を読みました。映画は出だしから引き込まれます。第五福竜丸、被爆ピアノが、戦争を全く知らない世代を刮目させている。実在のモノの説得力そして学生のセリフが耳に残ります。クライマックスの原爆ドーム前での被爆ピアノ演奏シーンでは思いもよらない展開になります。このあたりの見せ方が五藤監督の真骨頂で、流石です。小説もこのシーンが気になって読み込みました。森口瑤子さん、そして祖母の女学生時代の時代感が素晴らしいです。映画を観て小説がオススメ。
 
柴田秀一郎_写真作家
中学生時代写真家を志すが、受験を機に頓挫する。入社9年目32歳で写真活動再開。竹内敏信に師事。『バス停留所』リトルモア出版。「土門拳文化賞・奨励賞」受賞(2005年)。新聞、雑誌、TV、ラジオ、yahooニュースなどに紹介される。講談社『バスマガジン』に「バス停のある風景」9年目51回連載中
http://syashinkas.com/



ただかひろしの太鼓判BOOK
『シュルツ全小説』ブルーノ・シュルツ/平凡社
 
 
読んでいるとクラクラしてくる。意味を追えば振り落とされ、イメージを求めれば圧倒される。戦間期のポーランドで書かれながら、きっとシュルツの言葉はまだぼくらの遥か彼方にある。易しい小説ではない。けれど構えすぎる必要もない。カフカと並んで不条理で、幻想的で、どこを切り取っても詩のように美しい語(ことば)と文体で編まれた物語を、まずは味わってみるだけでいい。こんな素晴らしい小説があるんだ、と痺れませんか?ポーランド・アヴァンギャルドの世界へどうぞこの一冊から。
 
ただかひろし_勤め人
映画サークル「こねこきどり」に所属。読書が好き。
 
 
長崎恵美の太鼓判BOOK
『チャルカの東欧雑貨買いつけ旅日記』CHARKHA/産業編集センター
 
 
小さな頃から雑貨が好きで、夢は雑貨店を開くこと。ずっと憧れていた海外買い付けの旅。そんな中この本に出逢って東欧雑貨の魅力を知り、東欧買い付け旅が人生のひとつの目標に。蚤の市での買い付けの様子はもちろん各国の郵便事情、荷物の発送の仕方、切符の買い方等、実際の買い付け旅に役立つ細かな情報も。10年前、この本片手に人生初の海外、東欧旅が叶いました。旅の様子、東欧雑貨の写真も満載で紙質、サイズ感も◎ たまにふと手に取りたくなる今でも開くたびにワクワクさせてくれる本です。
 
長崎恵美_雑貨店25ris 店主
愛知県津島市の小さな雑貨店、25ris(ニコリス)店主。 時を経たガラス、文具、紙、車、建物が好き。 店名にも入っているリスの雑貨を集めています。


中島裕紀の太鼓判BOOK
『芹沢銈介の日本』静岡市立芹沢銈介美術館 監修/平凡社
 
 
この本が発刊された頃、ちょうど出雲民藝館を訪れていた。受付の方から芹沢銈介が出雲民藝館のロゴデザインをしたのだと聞き、もう一度、民藝館の木製の看板をまじまじと見てみた。とにかく胸がときめく。芹沢銈介のつくるモノが好きだ。私の仕事は本当に手間がかかるし時間がかかって仕様がない。だけど時間をかけて丁寧に仕事をする。それが、結果自分への豊かさにもつながっていると感じられるから私はこの仕事が好きだ。芹沢銈介の息づかいが感じられる本書をぜひ手に取って読んでみてほしい。
 
中島裕紀_金継ぎ屋こけ漆作家
2016年より広島県無形文化財保持者 金城一国斎先生の主宰する漆芸教室にて金継ぎと漆芸の技術を学ぶ。2022年より「金継ぎ屋こけ」の屋号にて金継ぎの仕事を開始。お直しのご依頼はInstagramまたは公式LINEより受付。広島市で金継ぎ相談会や漆作品の展示販売も実施。

南原尚幸の太鼓判BOOK
『戦いの音楽史~逆境を越え 世界を制した20世紀ポップスの物語』みの/KADOKAWA
 
 
時代時代の名盤を紹介をする本はたくさんあるが本著の推しは何と言っても、当時の社会情勢と絡めて、なぜにそのムーブメントが起こったのか?について20世紀のポップス史を100年分、凝縮して濃厚に解説していることです。音楽の発展には戦争や人種問題、技術の進歩などが密接に関係しています。社会情勢、時代の空気感を知ることでもっと深みが増し、今まで聴いてきた風景がまた変化して新たな楽しみへ誘ってくれます。知れば知るほど音楽は楽しくなる!さぁ、サブスク片手にレッツ読書!
※余談ですが著者みの氏のYouTubeチャンネル「みのミュージック」も猛烈にオススメです!
 
南原尚幸_蔦屋書店本部 第4運営部部長
福岡市出身。1998年CCC入社。音楽バイヤーやMDを経て九州にて初の地域商品部を設立。ライフワークはロックンロール新世紀。社歴のほとんどが音楽畑の経歴だったがひょんなことから六本松 蔦屋書店の立上げをすることに。同店OPEN後、館長に就任し現在に至る。福岡音楽都市協議会などの社外活動も並行してる、音楽一点突破野郎。
 

庭田杏珠の太鼓判BOOK
『モノクロの夏に帰る』額賀 澪/中央公論新社
 
 
作中に登場する写真集『時をかける色彩』は、カラー化写真集『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』(庭田杏珠・渡邉英徳、光文社新書、2020)がもとになっています。小説出版2年前に、額賀さんから直接ご取材いただき、プロットなど拝読していたので、完成した御本を手にしたとき感慨深かったです。「Real Sound Book」での、額賀さんとの対談企画でも感じたのですが、戦争体験者の「想い・記憶」が、登場人物の言葉として語られる新しい伝え方に、とても感動しました。
 
庭田杏珠_peace artist.
2001年、広島県生まれ。高校1年から、被爆前の広島の日常を写した白黒写真をカラー化する「記憶の解凍」に取り組む。令和2年度学生表彰「東京大学総長賞」、『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』(共著、光文社新書、2020年)で「広島本大賞」(2021年)など受賞。2025年公開予定の映画「記憶の解凍」制作中。
 
 
伴野 智の太鼓判BOOK
『ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義』早稲田大学教授 岡 真理/大和書房

 
ガザでは、もう3万人以上の人々が殺されました。大半は民間人で、多くの子どもたちが犠牲になっています。しかし、世界はこの”虐殺”を止めることができません。国家による戦争犯罪に対し、私たちは見て見ぬふりをしているのです。決してパレスチナ問題が、私たちに理解できない「難しい問題」ではないことを、この本がわかりやすく解説してくれます。今、ガザで何が起きているのか。なぜ、このような事態が起きているのか。まずは、知ることからはじめませんか。私たちが人間性を取り戻すために。
 
伴野 智_株式会社アジアンドキュメンタリーズ 代表取締役社長 兼 編集責任者
2018年に動画配信サービス「アジアンドキュメンタリーズ」を立ち上げ、独自の視点でアジアの社会問題に鋭く斬り込む作品を日本に配信している。ドキュメンタリー作家としては、ギャラクシー賞、映文連アワードグランプリなどの受賞実績がある。
アジアンドキュメンタリーズ https://asiandocs.co.jp/
 
 
藤井佳之の太鼓判BOOK
『超個人的時間旅行』藤岡みなみ
 
 
タイムトラベル専門書店を営む藤岡みなみさんが生み出した、タイムトラベル同人誌。11人の執筆者が、現実世界でのタイムトラベルをテーマに寄稿。日常に潜む不確かな時間感覚をノンフィクションで描き出す。一体どういう本なのか?過去を懐かしんだり未来に想いを馳せる前にまさにこの瞬間にタイムトラベルは誰でも出来るという実用書です。過去も最高。未来も最高。勿論今だって最高。でも今っていつ?この文章を書いてる今現在も私の「今」は刻一刻と変わってきてます。それすら肯定させてくれる一冊です。
 
藤井佳之_なタ書店主
1976年生まれ。2005年に大手出版社を引き止められながらも退職し、2006年に四国は高松で完全予約制の本屋「なタ書」を開店。18年にも及ぶ現状維持を続け、2023年は「妻を愛した古本屋」で満をじしての映画俳優として鮮烈デビュー。今最も脂が乗った本屋店主の一人として国内はおろか海外のその筋からも注目を浴び続けている。
https://natasyo.com/
 
 
須賀紘也の太鼓判BOOK
『野生のしっそう』猪瀬浩平/ミシマ社
 
 
 
発刊前にゲラを読んだときのインパクトが忘れられません。23時ぐらいから初めのほうだけ読もうと思っていたのですが、「はじめに」(「かろうじてかすっている…生と死をめぐる不安に今までより耐えられるのではないだろうか」のあたり)で泣きそうになって結局最後まで読まされました。全部すごかったですが「カタリナの構え」「旋回としっそう」「春と修羅」に特に圧倒されました。世界の見方と触れ方を一変させる力を感じた本当にすごい本です。
 
須賀紘也_ミシマ社 営業
2019年に出版社ミシマ社へ入社し、営業チームに所属(自由が丘オフィス)。基本的に北海道から関東の書店営業を担当していますが、広島の書店が大好きで例外的に担当しています!
 
 
山内章江の太鼓判BOOK
『「エシカル革命」新しい幸せのものさしをたずさえて』
一般社団法人エシカル協会代表理事 末吉里花/山川出版社
 
 
「エシカル」とは直訳すると「倫理的な」という意味ですが、この本の著者である一般社団法人エシカル協会代表理事の末吉里花さんは、「人や社会、地球環境、地域に配慮した考え方」と説明し、エシカルというものさしで世界の状況を照らし出しながら、どんな視点でどのような選択をすれば私たちはより良い方向へ進んでいけるのかということが書かれています。誰もが世界を変える力を持っていることを気づかされ、自分の暮らしを一歩超え社会と関わっていく新しいエシカルについて書かれた本です。
 
山内章江_量り売り商店紡~Tumugi~のオーナー
東広島市で、「自然食品の量り売り店」を夫婦で営んでいます。化学合成添加物を極力使用せず、安心安全な商品を必要な分だけ購入することができます。また、ゼロウェイストの取り組みを通じ、ゴミの削減にも注力し、エシカルな買い物の機会を提供しています。
 
 
吉冨 孝の太鼓判BOOK
『イワン・イリッチの死』トルストイ 米川正夫 訳/岩波書店
 
 
一般的に小説で描かれる死は他人から見た死だ。死を目前にした登場人物の勇敢さや卑怯さが読者の心を揺さぶる。しかしそこに描かれる死は、物語で脚色された客観的な死だ。他人の死は経験できても自分の死を経験することができないとすれば、自分自身のむき出しの死を描くことなんて出来るのだろうか。小説『イワン・イリッチの死』はそこに迫る。病におかされた主人公が自らの死を最期の瞬間まで見つめる様が描かれる。きっと文豪トルストイは一回死んだことがあるに違いない。
 
吉冨 孝_広島 蔦屋書店の読書会62  私の太鼓判!ビブリオバトル 第2回 優勝者
会社勤めのサラリーマン
 
 
 
江藤宏樹の太鼓判BOOK
『半暮刻』月村了衛/双葉社
 
 
2人の青年の物語である。彼らは半グレの経営する会員制のクラブで女性たちをたらしこみ闇に落としていくという、本人たちはそのことに無意識なのだが、最低の仕事をしている。そのクラブは摘発され、彼ら2人はその後全く別々の道を歩むことになる。方やもっと深い闇に落ち、方やエリート街道を突き進む。しかし、本当の悪はどちらなのか。そして彼らにつきまとう小さな悪と、決して手が届かない巨大な悪の存在を私たちはどう考えればいいのか。現代社会の闇と、それでもかすかにある救いを正面から描き切る。
 
江藤宏樹_広島 蔦屋書店 文学コンシェルジュ
 
 
 
河賀由記子の太鼓判BOOK
『小山さんノート』小山さんノートワークショップ/エトセトラブックス
 
 
約10年前に亡くなった、小山さんと呼ばれたホームレスの女性が遺したノートである。死後彼女が暮らしたテントから見つかった80冊を超える手書きのノートを、有志として集まったワークショップメンバーが8年かけて文字起こししたという。孤独や貧困、暴力、尊厳が脅かされる日々の中に、ささやかな喜びや胸躍るひとときが鮮明に記されている。小銭を拾っては喫茶店に通い、そこでノートを書くことによって気持ちを整えていたようだ。過酷な状況の中でも自分であることをあきらめない意志を感じる本書は、希望を失いかけた社会に生きるものへの光となるかもしれない。
 
河賀由記子_広島 蔦屋書店 食コンシェルジュ  
 
 
 
島津美穂の太鼓判BOOK
『百実帖』雨宮ゆか 雨宮秀也 写真/エクスナレッジ
 
 
『百花帖』『百葉帖』に続く100のシリーズ第3弾『百実帖』は開くと気持ちが満ちてゆく。まずは植物の写真が愛らしく健気で美しい。それに寄り添う言葉がたまらなく優しく、生きていくことをそっと励ましてくれる。もちろん植物の知識も増え、知らないことを知る楽しみは満載だが、興味深いのは、その名前の漢字や意味。面白い!雨宮さんの植物に対するあふれる愛情をぎゅっと閉じ込めたこのシリーズはいろいろな愉しみ方ができる。そう、100の愉しみ方ができるのだ。
 
島津美穂  _広島 蔦屋書店 暮らし書担当
 
 
 
宮本陽子の太鼓判BOOK
『ちょっとだけ』 瀧村有子  鈴木永子 挿絵/福音館書店
 
 
私ががむしゃらに子育てをしているときに出会った絵本です。「“ちょっとだけ”じゃなくて、いっぱいだっこしたいんですけどいいですか?」ほんの少し、心をゆるめるだけでわが子へ伝えられた言葉です。でも、あの頃はできませんでした。時が経ち、この絵本は「そう、本当はそう言って抱きしめたかったんだよ」って、あの頃の自分を代弁してくれていると感じます。子どもを大切に大切に思いながら正解のない子育てを頑張っている人たちへ、少し肩の力を抜いて読んでみてほしいと思います。
 
宮本陽子_広島 蔦屋書店 Kidsコンシェルジュ
 
 
 
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