【広島 蔦屋書店】広島 蔦屋書店がおすすめする 海外文学2020

フェア・展示
蔦屋書店1号館1F 2021年02月18日(木) - 04月11日(日)
 
昨年に引き続き今回も素晴らしい海外文学を多数紹介できることを嬉しく思います。
 
海外の素晴らしい文学作品を日本語で読めるという幸せに感謝すると共に、書店員として思うことは、こうして読むことができるという現状を守るためにも、私たちは海外文学を売らなくてはならないのだ、ということです。
 
海外文学がもし、今売れないという理由で多くの書店の店頭から姿を消してしまっているとしたら、その責任の多くは海外文学をきちんと紹介できていない、私たち書店にもあると思っています。
 
何よりも私自身ができていなかったことへの反省として昨年に引き続き今回もフェアを開催致します。
 
まずは、前回に引き続き目立ったのは日本で数多くの韓国文学が翻訳されたということです。
この流れの勢いはまったく衰えることなく現在も続いています。
隣の国である韓国ですが、国家間での政治の問題など解決すべき事柄はいまだ山積みで、本当に両国がわかりあえる時がいつ来るのかわかりません。
国と国の問題は、解決までに困難が伴い、また時間がかかることもあるでしょう。しかしながら、文化(カルチャー)というものは、そんなものを飛び越えて2つの国を繋ぐ架け橋になると思っています。文化(カルチャー)は、それを通してお互いがお互いのことを知り、そして理解し合うきっかけとなる力を持っています。
文学の力は真の意味で世界を変えるのです。
 
続いて、昨年のこのフェアで触れたのは、環境問題、テクノロジー依存、分断と断絶、移民問題、ジェンダー問題、フェミニズム文学といったキーワードでした。
それから1年たった現在の状況を見渡しても、実はほとんど改善されていないどころか、悪化さえしているように見受けられます。
 
 
それを象徴するような悲しい問題も起きています。
前回も取り上げた、日本のジェンダーギャップ指数は世界121位です。
そしてつい先日も日本における女性差別発言が世界のニュースとなりました。
世界のフェミニズム文学が日本に数多く紹介されている現在ですが、いまだ日本の意識はアップデート出来ていないことを世界に知らしめる結果となってしまったのです。
 
国際社会における日本の意識のズレがますます大きくなっているのではないでしょうか。
私達は国内にだけ目を向けていてはいけません。
世界に目を向けるきっかけとしても、海外文学に触れるべきであり。そして世界的視野を手に入れることで、自らをアップデートし続けることを怠ってはいけないのではないでしょうか。
私達書店員はその手助けとなるような、良質な海外文学を紹介し続けなくてはならないと改めて強く思いました。
 
また、昨年と違う大きなトピックとしては、コロナウイルスの世界的な大流行があります。
人類共通の敵があらわれることによる、世界的な人々の結束、協力、それによって世界はひとつになる、なんていうのはただの楽観的空想力の産物に過ぎなかったようです。
実際にはさらなる対立と分断を招くことになりました。コロナ文学と言われるような本も今回紹介しています。
 
 
コロナの影響から、前回もこの頁で触れた難民問題はさらに解決困難な状況に陥っています。
人々の移動は制限され、安全な場所への脱出もより難しくなってしまいました。
前回記した難民と呼ばれる人たちの数は「7080万人」でしたが、2019年末の時点でこの数はさらに膨れ上がり「7950万人」となっています。しかも、2020年の数字はこれよりさらに1000万人近く増加する可能性もあるということです。
もうこの巨大な数字を前に私達の思考回路は麻痺してしまいかねません。
 
しかし、ここで私は前回の言葉を繰り替えそうと思います。
 
文学はその「7950万人」のうちの、ある「1人」の人生を描くことができる。
そして優れた文学作品とは、その「1人」の人生を通して、周りの多くの人々の人生や、その「1人」に連なる過去の人々、その先の未来の人々に対しても思いを巡らせる力を持っているのです。
すぐれた文学作品を通して、私達はある「1人」を知ることで「7950万人」のことを考えることができるようになるのです。
 
私達は、この巨大な数字の前に唖然としてしまってはならない、声を失うかもしれないが、ここで思考を停止してしまうわけにはいかない。
ある「1人」を思いやり、そこに心を寄せて、知り、そして理解しようと努力し続けなければならないのです。
そうして、今一度文学に向き合い、本を読む。それが私達にできることの1つではある。
小さな1つかもしれないのだが、その小さな1つを踏み出したあなたの一歩は偉大なのです。
 
今回も本を選ぶための手助けとなるように、それぞれの本に簡単な紹介文を付けています。
もしよければ、この紹介文だけでもぜひ読んでみてください。
 
そして気になる1冊が見つかれば、ぜひ買って読んでみて欲しいのです。
 
あなた自身の大いなる1歩を踏み出すために。

文学コンシェルジュ 江藤宏樹
 
 
このフェアが終了後も2020年の海外文学を選ばれる時の手がかりとしていただけるように、今回も冊子をつくりました。
今回フェアで紹介した全作品に、フェア担当者2名で書いたおすすめコメントを載せています。
広島 蔦屋書店1号館1Fのフェア平台に無料で置いてありますので
ぜひ持ち帰って頂いて、本を選ぶ際の参考にしてみてください。
 
 
  • 期間 2021年2月18日(木) - 4月11日(日)
  • 場所 蔦屋書店1号館1F
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