江戸色インク  価格の高い順

江戸色インク

江戸色インク
二〇一七年の発売から好評を頂いている、銀座 蔦屋書店限定のオリジナルインクシリーズ。
第三弾のテーマは、伝統的な日本の吉祥文様。

オリジナルインク製作に定評がある文具店「カキモリ」とコラボレーションして作りました。

「雨雲」「鳳凰」「秋蔦」をモチーフとして、それぞれの紋様から連想される色を基に、
江戸時代で最もポピュラーだった色のひとつである”鼠色”を加えることで、
江戸の情趣を感じる、深みのある色合いの顔料インクを作りました。

文字を書くだけではなく
―江戸色インクで描いてみた―

文具コンシェルジュ・鄧(トウ)さんに聞く開発秘話
―江戸色インクができるまで―

銀座 蔦屋書店オリジナル
「江戸色インク」第三弾。
新時代の幕開けにふさわしい、吉祥文様をモチーフにしたインクの魅力を、
開発者である文具コンシェルジュの声と共にご紹介します。

ものづくりの街・蔵前の有名文具店、
カキモリとコラボレーション

──始めに、カキモリさんとコラボレーションした経緯について教えて下さい。
トウ:新しいオリジナルインクを出したいと思っていた時に、2018年9月浅草で開催された東京インターナショナルペンショーでカキモリさんの商品を見ました。
私は、プライベートでもカキモリさんによく行くのですが、インクも瓶もすごく素敵で、染料インクではなく、顔料インクなんです。第一弾、第二弾と染料インクで作成したので、今までと違ったインクにチャレンジしてみようと思って、お声掛けしたのがきっかけです。
──昨今の万年筆のインクの主流は染料インクだと思うのですが、あえて顔料インクにしたのですね。
トウ:そうですね。顔料インクは詰めにくい、固まりやすいなど欠点もあって……。
ですが、顔料の方が数年経っても元の色を保つことができたり、滲みにくいなどの特性もあるので、手紙を書いたりするのに向いています。
そういった所が好きなお客様もいらっしゃるので、顔料インクで製作する事にしました。
──カキモリさんのインクは、顔料でありながら、とても扱いやすいインクだそうですね
トウ:はい。顔料インクはドロドロしたイメージがありますが、こちらのインクはサラサラと書くことができます。

日本の伝統的な「吉祥紋様」をテーマに、
独自の色を追求

──第三弾は、日本の伝統的な吉祥紋様をテーマにしているとのことですが、これらに決めた理由などはあるのですか?
トウ:当店のお客様は、プレゼント探しに利用される方が多い事もあり、今回は「ギフト」という目線で考える事にしました。その中で、贈る相手に対して、何か良い意味合いが込められているものを作りたいという思いのもと、江戸時代の着物などの紋様を調べていた際に、“吉祥紋様”というテーマが候補にあがりました。
良い意味合いが伝わり、かつ模様自体に可愛さのある吉祥紋様は、ギフトにも最適だと思いました。
──この3色(黄色・赤・青)は、どのようにして生まれたのですか?
トウ:他ではあまり売っていない色を作りたかったんです。
まず、市場でどんな色が売られていて、どんな色があまり売られていないのか、リサーチを行いました。そこから、他ではあまり見ない色と作りたい色のイメージを組み合わせて、決めていきました。

各色、たとえば、青は「青竹色と秘色の間の色」など、日本の伝統色の具体的な名前を伝えた上で、さらにイメージに合うように、細かい色の調整をしていきました。
それぞれ、カキモリさんからも、微妙なニュアンスの違いのある、サンプルを数種類ご提案頂き、その中から濃淡や深みなどがより感じられる色を選定していきました。
──こだわりのポイントなどはありますか?
トウ:はい。紋様にはそれぞれに意味があり、相手に伝わりやすいモチーフです。吉祥紋様というテーマが決定し、紋様と色のバランス、リサーチした結果を踏まえながら、細かい色を決めていきました。その際、江戸時代に特徴的だった鼠色をベースに使おうというアイディアが生まれました。
──鼠色を入れたというのが、こだわりなのですね。なぜ江戸時代の特徴的な色が鼠色なのでしょうか?
トウ:江戸時代中盤以後、庶民の間ではあまり派手な色は使ってはいけない決まりがあり、当時の人々は茶色や鼠色など素朴な色の着物を身に着けていました。
派手な色は高い階級の人が使える色で、素朴な色は「みんなが使える色」。
このインクは「みんなが使える」ものにしたかったので、鼠色を入れようと考えました。
ただ、ギフトとして贈る商品にするには、華やかさも必要なので、鼠色はベースに使うことにしました。発売当時は冬だったので、くすんだ色が季節にもマッチして趣のあるものになったと思います。

パッケージにもこだわりを
越前和紙の老舗とのコラボレーションが生み出した、ギフトに最適な紙箱

──3色セットは、パッケージもこだわっているそうですね?
トウ:今回は「ギフト」をサブテーマにしているので、プレゼント用に出来る、3色セットの箱を作りたいと考えました。その時に思いついたのが、明治元年に創業した越前和紙の老舗、福井県の山次製紙所さんです。
山次製紙所さんが作っている和紙は、柄もモダンで、この紙に凹凸による二色の濃淡模様の表現が可能となった「浮き紙」という技法は山次製紙所さんが独自の技法です。

山次製作所さんの技術でどんな箱を作ろうか考え、インクの色をそのまま箱にしたら面白いんじゃないかなと思いました。この箱はインクにどぼんと浸けて色を出しているんですよ。
──インクの色にこの和紙を直接浸け込んでるんですか!?
トウ:そうです。インクを山次製紙所さんに送って、染色をお願いしました。
──だからそれぞれ色の出方が違うのですね。
  この柄にしたのはなぜですか?
トウ:この柄は山次製紙所さんが最初に作った象徴的な柄なので、コラボレーションという意味で使わせて頂きました。柄と技術は山次製紙所さん、色は銀座 蔦屋書店を表しています。こちらは、90個限定でお作りしています。

インクと紙の楽しみ方

トウ:今日はお勧めの紙も準備しました。
こちらは、満寿屋さんとコラボした当店オリジナルの原稿用紙。少し薄めなので、裏透けが若干でますが、生成りの紙なので、くすんだ色合いの江戸色インクにとてもよく合います。
白い紙とは色の出方が違って面白いのでお勧めです。

あとは、今店頭でも販売している、神戸派計画というブランドの万年筆向けのノート。後ろが透けにくいし、紙も厚めなのでお勧めです。

これら以外にも、色々な紙に書いて雰囲気の違いを愉しんで頂きたいインクです。
店頭では、試し書きも出来るので、是非お声がけください。
──本日はありがとうございました。

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