【広島 蔦屋書店】ふれる民藝 前期

フェア・展示
1号館1F マガジンストリート 2023年02月01日(水) - 03月13日(月)
 
「民藝」とは、何でしょうか?
実は『リーチ先生』集英社 原田マハ著 を読んで興味を持ち始めたので、にわか民藝好き。はっきりこれだと説明することが叶いませんが…
 
「民藝」とは、約100年前に柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司によって造られた「民衆的工藝」の略語です。当時の主流は西洋画や日本画、彫刻など「美術」がもてはやされていたのですが、名も無き職人の手から生み出された日常の生活道具にこそ美術品に負けない美しさがあると唱えました。今でいう多様性でしょうか。新たな価値観を見出し、仲間と共に広めていったものが今日まで脈々と受け継がれているのですね。
 
柳宗悦によると、民藝品とは以下の9つの特性を備えたものとされています。
 
1.実用性:鑑賞するためにつくられたものではなく、なんらかの実用性を供えたものであること。
2.無銘性:特別な作家ではなく、無名の職人によってつくられたものであること。
3.複数性:民衆の要求に応えるために、数多くつくられたものであること。
4.廉価性:誰もが買い求められる程に値段が安いものであること。
5.労働性:くり返しの激しい労働によって得られる熟練した技術をともなうものであること。
6.地方性:それぞれの地域の暮らしに根ざした独自の色や形など、地方色が豊かであること。
7.分業性:数を多くつくるため、複数の人間による共同作業が必要であること。
8.伝統性:伝統という先人たちの技や知識の積み重ねによって守られていること。
9.他力性:個人の力というより、風土や自然の恵み、そして伝統の力など、目に見えない大きな力によって支えられているものであること。
 
引用元:日本民藝協会│「民藝」の趣旨―手仕事への愛情
 
よりわかりやすくなりました。
名も無き職人が作っていたもの、とありますが今では「作家もの」というジャンルも存在します。それは情報過多な時代の流れなので仕方のないことですね。
土井善晴さんは「家庭料理は民藝だ」ともおっしゃってます。暮らすために働くその行為にこそ民藝の美があり、料理の美もそこにあるのではないかと。
人それぞれ、モノに対する思いはあると思いますが、「民藝」というムーブメントを起こしてくれたおかげで、わたしたちは今、自分の好きだと思えるものを自由に選び、使うことが出来ます。そして昔からの技術や風習が受け継がれていくのも大事なことです。
民藝ってなかなか面白いと思いませんか?ぜひ、書籍を手に取って民藝を知ってください。そして、民藝品に触れて味わってください。工業的なものにはない、実直さ、美しさ、温かさを感じるはずです。暮らしにそっと寄り添う民藝と、より豊かで美しい時間を過ごしていただけると嬉しいです。
 
 
今回のフェアでは、『暮らしの民藝』萩原健太郎著(エクスナレッジ)に掲載されているお店のものを主にご紹介しています。続けてパート2として『暮らしの民藝②』に掲載されているお店のもの、器を中心に展開する予定ですので、楽しみにしてください。美しい民藝品とともにお待ちしております。
 
 
【お取り扱いブランド】
野沢民芸
 
 
民芸品工房「野沢民芸」は、絵付師でもあり代表理事の早川美奈子と職人達が、みちのくの地会津で日本の伝統を絶やすことの無いよう心を込めて、作品の製作をしております。みなさまに、この素朴で心あたたまる作品をご愛玩いただければ幸いです。
 
 
■桂樹舎
 

良質な和紙を産出し、民謡おわら節の本場としても著名な越中八尾の町。桂樹舎はそんな町で八尾和紙の伝統を守り続けると共に、常にわしの新しい用途に向かって進んでおり、現在も和紙を材料とした文房具・バッグ・クッション・鯉のぼりといった様々な加工品を製造しています。
 
 
■のごみ人形工房
 

~楽しさと潤いを届けたい~
1945年の終戦時は混乱の中にあり心が荒む世の中だったため、皆の心に楽しさと潤いを届けたいとの思いで のごみ人形は始まりました。縁起の良い十二支や動物、お祭りなど地域に根ざした人形や土鈴を作り続けています。すべての工程を手作りしており、素朴な土鈴の音色と温かみのある人形たちで楽しんでいただけましたら幸いです。

 
 
■喜利具
 
 
喜利具(KILIG/キリグ)はタガログ語で「お腹の中で蝶々が舞う」そんなワクワク感がこみ上げる様子から生まれた名前です。山葡萄はとても丈夫なことから「100年籠」と言われています。少し特別に感じる山葡萄ですが、本来は暮らしの道具として日々使われてきました。日常で使っていくことで黒く光り手にしっとりと馴染み自分だけの籠に成長していきます。「特別な今日」だけではなく、積み重なる毎日にそっと寄り添う山葡萄の籠を鎌倉から。
 
 
■松野屋
松野屋は探し歩いています。
松野屋は1945年創業、現在は自然素材を中心とした生活道具をあつかう荒物問屋。荒物という言葉自体、近ごろあまり耳にしなくなったが、ほうき、ちりとり、ざるなど、ちょっと前まではどこにでもあった簡単なつくりの日用品のこと。松野屋では、国内やアジアの町に直接足をはこび、町工場や閑散期の農家などで作られる日用品などを仕入れると同時に、生産者とともに今の時代のニーズにあったオリジナル商品を開発してきた。荒物は民藝と同じように人の手が生み出す日用品のことだが、それは民藝のいうところの「民衆的手工藝品」ではなく、より普通の人びとの日常の暮らしに根差した「民衆的手工業」から生まれる日用の道具たちだ。人として、まっとうな暮らしを営むなかで、長い年月をかけて培われてきた手工業製品には、買いやすい値段で、良い仕事をするものが多い。日常に使いやすく、今の暮らしにちょうど良い、「ベストでもベターでもない、ナイスなものづくり」から生まれる暮らしの道具たちとの出会いが、日々の生活を豊かに彩ってくれることを願っている。
 
 
  • 期間 2月1日(水) - 3月13日(月)
  • 場所 1号館1F マガジンストリート

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