純喫茶へようこそ

フェア・展示
1号館1F 広島 蔦屋書店 2018年01月16日(火) - 02月20日(火)

純喫茶のこと(蔦屋書店・河賀)

 

 

いつ頃からだろうか。

純喫茶を見かけると気になって仕方なくなった。たぶん古いものと食べものが好きだからだと思う。

同じ趣味の友人とRST部(レトロスポット探索部)を作って、近場ではあるけれど、気になる純喫茶や古い建物が多そうな街を探索した。ちなみに部員は4名と仮入部員が1名。私は副部長だ。

 

その部活動の中ですばらしいお店にたくさん出会えたが、中でも忘れられないお店のひとつに、「純喫茶パール」がある。2012年11月25日に広島駅前開発によって65年の幕を閉じた伝説の純喫茶だ。駅前猿候橋エリアの角にあったビルは、モダンで美しく、一際目立っていた。レトロ好きなら誰しもうっとりしただろう。はじめて店内に入った時の感動は、私の純喫茶好きをゆるぎないものにしてくれた。

らせん階段とその中央に下がる照明。広い店内にたくさん並んだ少し低めの椅子とテーブル。パフェグラスや銀食器、カーテン、装飾品のすべてが完璧だった。

 

 

閉店すると聞いた時は、もしも私が大金持ちだったなら、ビルごと買い取ってそのままどこかに移設するんだと部員に話し、いいぞ、いいぞとほめられた。もちろん、そんな大金が用意できるはずもなく、パールは閉店してしまった。その後も訪れては、店内を見せてもらったり、備品を分けていただいたりした。

そう、肝心のメニューも忘れてはいけません。純喫茶らしいメニューが並び、どれにしようか迷う時間も至福の時だ。仕切りのある銀のトレーに行儀よくおかれたサンドイッチやフルーツに感嘆し、パステルグリーンの「メロンミルクセーキ」のおいしさに感動した。「クリームあんみつ」と「クリームみつ豆」と「クリーム白玉」のちがいについて語ることは純喫茶あるあるだ。ハヤシライス、ミックスジュース、まだまだ思い出に浸りたいメニューはあるけれど、ひとつひとつお話するときりがないのでまたにしよう。

 

パールの話はこの辺で。いや、やっぱりもうひとつだけ。マッチの話。昔から純喫茶にはマッチがつきものだ。今ではおいていない店も多いけど。パールはデザインを変えて、オリジナルマッチを作っていて、壁にコレクションとして飾ってあった。そして私は昔からマッチを集める癖がある。純喫茶のマッチはお金で買うことのできない価値あるもの。パールのようにもうなくなってしまったお店がそこにあった証なのだ。だから煙草を吸わなくてもマッチをいただく。かわいいしね。

 

 

そんなRST部生活の中で素敵な書籍に出会った。『純喫茶コレクション』(PARCO出版・絶版)。東京喫茶店研究所二代目所長の難波里奈さんの書籍だ。行ってみたくなる純喫茶の写真がたくさんで最後にマッチも掲載されていた。難波さんの3作目『純喫茶、あの味』(イースト・プレス)の出版後のヲルガン座のイベントに参加してお会いすることができた。難波さんは想像通りおだやかで、かわいくて、物静かな中にも純喫茶への情熱を感じる人だった。サインにもひとりひとり向き合ってくれる優しさに感動した。私がインスタをはじめたのは難波さんに会ってからで、難波さんのインスタを見るためだったくらいだ。

 

 

難波さんのファンといえば、よく知っているお店のご夫婦もだ。土橋にある純喫茶中村屋のご店主で、こちらを訪れた難波さんの礼儀正しさやかわいさに惚れ込んだようだった。

1946年創業ということは、72年もの歴史のある中村屋はバラックからスタートし、コーヒー豆も出回っていない時代に何とか手に入れ、喫茶店の礎を築いたそうだ。現在の場所へ移って建てられたこだわりの内装は外装から想像もつかないくらい美しく圧巻だ。小さな劇場のようで、天井が高く、迫力満点のシャンデリアが目をひく。20年前に火事に遭うも重厚な内装はビクともしなかった事は幸福なことだ。

ご夫婦に昔話を聞いていると最初は謙遜とも億劫ともとれる様子もあるが、だんだんと話がはずみ、ふたり競うようにして話す姿は微笑ましい。しかし一方で、ここに生まれ育ち、中村屋の歴史とともに生きてこられた奥様がお店の行く末の案じたときにみせた少し寂しげな横顔は切なくて、でも、凛としてみえた。

 

 

少しずつ姿を消しつつある街の遺産「純喫茶」

いろんなお店があるけれど

大切なことはたったひとつ

おちつくかってどうかってこと

あなたの行きつけの純喫茶を見つけてみませんか

 

最後に記事の中で触れることをご快諾いただいた難波里奈さんとフェアのポスターの撮影に快くご協力してくださった中村屋店主ご夫婦の中村陽子さん中村昭博さんに感謝いたします。

 

珈琲のこと、喫茶店のこと。もっと知りたい方に。

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  • 期間 2018年1月16日(火)- 2月20日(火)
  • 場所 1号館1F 広島 蔦屋書店

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