文芸誌『アパート』

商品について日本語

『アパート』は「豊かな世界を内に秘める作家たちが、はみだしながらも同居する、間借り住宅のような文芸誌」をコンセプトとし、作家・ジャンルの異なる4作品を収録している文芸誌です。４名の作家たちによる短編小説を一冊ずつ中綴じの本として製本し、イラストレーターの北原明日香さんによる装画をあしらって合本しています。

＜収録作品＞
関口舞「自由について」：誰かによく思われたい。あの人の期待に叶う私でいたい。自らの価値を他人の眼に委ねて生きることに疲れた女性の、とりとめもなく、決してまとまることもない日々をそのままに書き留めた純文学作品です。自由に生きることの難しさに直面しつつ、それでも自分なりに答えを見つけて進もうともがく彼女たちの物語から、日常に潜む切実な生きづらさ、その断片を自分も抱えていることに気づかされます。

森旭彦「都会の夢」：新宿で暮らす眠れない男・丸之内 歩は、藁をもすがる思いで診察を受けたクリニックで、夢を可視化する新技術f-MRIの治験を勧められます。妙に鮮明な悪夢と、不明瞭な現実に苦しみながらも、不眠の実態をつかむべく治験に向かう丸之内。一方、そんな男の眠れない夜をよそに、どこかの静かな草原では、自分たちが誰かに「数えられている」ことに気づいてしまったヒツジたちの、モコモコとした冒険が始まっていました。
都市と草原。人と動物。奪われる夢と、空虚な文明――前代未聞のSF不眠小説が誕生しました。眠りという日々繰り返される行為から、都市の生活が奪ってきたものを見事にあぶり出すファンタジーで、読後は今生きている世界を見つめ直したくなります。

神西亜樹「九龍黒幇」
九龍を舞台とするハードボイルド小説です。無政府状態の九龍に存在するふたつのマフィア。うち一方、青銅ファミリーのボス・ビリが誘拐されてしまいます。怒れるマフィア構成員たちにより、街は混沌と暴力の坩堝と化します。ファミリーの幹部であるレイは、仲間とともに犯人捜索を開始するのですが――。緊迫感のある展開と心理描写が光る作品です。

齊藤ゆずか「さよなら、ライトブルー」
高校生の主人公・未希と、同じ高校に通うミステリアスな優等生・一葉。ある日の朝、通学途中の駅で初めて言葉を交わした二人は、学校をエスケープし、たった１日だけの短い逃避行へ出ます。向かった先は京都。歩みを進めるうちに、互いが抱える秘密を吐露し、自らの傷をさらけ出してゆく二人。彼女たちが向かう先は――
主人公の未希がまなざす世界、彼女の揺れ動く気持ちがとても繊細に、豊潤な表現力をもって描かれており、頁をめくるごとにストーリーの奥深くへと引き込まれていきます。読み終えた後、手のひらに確かな物語の感触が残るような、味わい深い作品です。

各作家の作品はそれぞれが独立した単行本でありながら、背のアイレット(フックのようなもの)によって束ねられることで、一冊の文芸誌となっています。

取り外せば単行本、組み合わせれば文芸誌、お好みのスタイルで物語の世界をお楽しみいただけます。各作品単品での販売もしております。

※４冊を束ねる留め具には日用品のキーチェーンや結束バンドなどを使用しています。留め具の種類や4冊を並べる順番はランダムのため、実際に届く商品は写真とは異なる場合があります。

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商品情報

出版社 鍵出版

発売日 2024 / 05 / 19

品番KLIT10031A-2510000381804

製品仕様 B6判変型、4冊組、留め具の指定不可です

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