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海の緒 中井菜央 写真集
販売価格:¥6,000 (税込 ¥6,600)
海と空の位置の境も、物的な境もなく、それ自体の形さえなく、そうして、もはや一つ二つと数えることもできない光景。
目の前にあるものの、その根源へ
前作『雪の刻』において豪雪地で6年にわたり雪を撮り続けた中井菜央は、やがて、その雪をもたらす水へ、海へと向かった。対馬海流を辿って北上し、辿り着いた宗谷岬。境なく広がる水を前に、幼い頃から身近にありながら「黒い穴」のように感じていた琵琶湖の記憶が蘇る。目前の海と記憶の底の湖が響きあい、中井はこの地で撮ることを決めた。
季節を越えてその場所に身を置く。強風に荒れ狂う水、漁船の上から見る闇。何を撮るかをあらかじめ定めることなく、中井は、自らの深奥にある水脈が揺れるものを探すように、世界を見つめ続けた。
やがて、風がひたと止み、皺ひとつない薄布のように水面が静まり返る「トロ凪」に出会う。
荒れ狂う海も、静まり返った海も、水であることに変わりはなく、水は外からもたらされる力を受け入れ、そのつど異なる姿となって現れる。知識として「知る」ことと、身体を通して「識る」こと。その大きな隔たりに触れたとき、それまで確かなものと思われていた世界の輪郭が、ゆっくりとほどけ始めた。
水、海藻、草、石、砂、雲、風、氷、雪。
ひとつひとつに与えられた名前や形、ものとものとを隔てていた境界が揺らぎ、それらは崩れては組み替えられ、また別の世界を立ち上げていく。一滴の雨は水面を転がり、やがて海へと溶けていく。ひとつの滴と、星ほどの大きさをもつ水。個と全体の境も、目の前で揺らいでいく。
空を映す水面は、空の高さをそのまま深さへと変える。どこまでが空で、どこからが海なのか。世界を成り立たせている境界はほどけ、それまで別々のものとして見えていたものが、絶えず姿を変え、互いのうちへと移りゆく。中井は、そのただなかでシャッターを切り続けた。
海と空の境も、ものとものとの境も、その形さえ失われていく光景。一つと無数、極小と極大のあいだを融通無碍に行き来し、再び一つに始まる、果てのない流転。
そのなかに中井は、「決して知られない世界そのものへ繋がる緒」の糸口を見た。
海の緒。
(版元HPより引用)
発売日
発売中
品番GPHT13805J-9784865412369
製品仕様
Book Design:須山悠里
H282mm × W228mm/104 pages/Hardcover
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