【六本木ホラーショーケース -ARTICLE-】#009 『オクス駅お化け』が達成した日韓のコラボレーション

“活きのよいホラー映画、ご紹介いたします”

【六本木ホラーショーケース】
六本木 蔦屋書店映像フロアがお贈りするホラー映画紹介プログラム。
ホラー映画を広義でとらえ、劇場公開作品を中心にご紹介し、そこから広がる映画人のコネクションや文脈を紐解いていきます。
 
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今回ご紹介するのは、10/6公開の『オクス駅お化け』です。
 
ポスター画像
(C)2023, MYSTERY PICTURES & ZOA FILMS, ALL RIGHTS RESERVED

『オクス駅お化け』
2022 | 監督:チョン・ヨンギ
 
韓国映画と日本映画。
アジアの雄として発展してきた両国の映画界は、付かず離れずといった距離感を持っているように思います。
ジャンル映画の話をすると、90年代後半から00年代にかけて“Jホラー”と呼ばれる日本のホラー映画ムーブメントがハリウッドに輸入され、一躍人気となりました。
一方、韓国映画は10年代にバイオレンス描写を武器としたサスペンス・ノワールが世界的に人気を博します。

それぞれのポジションを世界に示してきましたが、日韓の映画的交流はどうでしょうか?
個人的な印象としては、まだまだ発展途上と感じています。
もちろん合作映画は作られています。
キャストや監督が互いの国の作品に参加することもありますが、コラボレーションというよりは、ゲスト的な扱いが多いように思えます。
それらの良し悪しを議論している訳ではなく、イチ映画ファンとしては、混ざり合いを見てみたいという欲求が高まっているのも確かです。
 
前置きが長くなってしまいましたが、『オクス駅お化け』は、まさに日韓のホラーが混ざりあった、真のコラボレーションが達成されている一作です。
監督、キャスト、舞台は全て韓国ですが、脚本に高橋洋がクレジットされています。
さらに、脚本協力に白石晃士。
エンドクレジットには清水崇の名も発見出来ます。
言わずと知れた、日本のホラー映画界を引っ張っている面々です。
 
制作の経緯としては、2011年に韓国のウェブで発表された短編コミックを基に、韓国のプロデューサーの依頼で高橋洋が長編映画用の脚本を書き、その後イ・ソヨンや白石晃士などが改稿に関わったという流れだそうです。
 
映画をご覧になった方は、皆さん『リング』を思い出すであろう、とあるモチーフが登場します。
それだけでなく、怪異の先に蠢く不気味な何かはJホラー特有の雰囲気を持っています。
物語の面白さは、韓国映画が得意とする骨格の太いスジをスピード感を持って突き進む力強さを感じます。
双方の良さがブレンドされた魅力を感じることができ、真のコラボレーションの登場を喜ばずにいられません。

【六本木 蔦屋書店のオススメ:鑑賞前後に観たい作品】
 
『女優霊』
1996 | 監督:中田秀夫(脚本:高橋洋)
 
『リング』で世界中のホラーファンを震撼させた監督&脚本コンビによる作品です。
『リング』以前の作品で、中田秀夫監督の商業長編映画デビュー作でもあります。
撮影所の天井が怖いという、日常で感じた恐怖から作品が出来上がったというエピソードがあります。
これは『オクス駅お化け』で、駅ホームと列車の間に吸い込まれてしまうのではというアイデアを起点としたことにとても似た成り立ちだと感じます。
 
 
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