【六本木ホラーショーケース -ARTICLE-】#011 ネット都市伝説の申し子が贈る『リゾートバイト』

“活きのよいホラー映画、ご紹介いたします”

【六本木ホラーショーケース】
六本木 蔦屋書店映像フロアがお贈りするホラー映画紹介プログラム。
ホラー映画を広義でとらえ、劇場公開作品を中心にご紹介し、そこから広がる映画人のコネクションや文脈を紐解いていきます。
 
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今回ご紹介するのは、『リゾートバイト』です。
 
ポスター画像
(C)2023「リゾートバイト」製作委員会
 
『リゾートバイト』
2023 | 監督:永江二朗
 
今作は“2ちゃんねる”などの掲示板に書き込まれたネット都市伝説を原作とした映画です。
都市伝説とは、近代に発祥した噂話でその根拠や情報源が定かでないモノを指します。
言い伝えや神話の現代版ともとれますが、我々の生活により近い物事が扱われているので生々しい感触がある話も多く存在します。
故にホラー映画の題材にはうってつけで、“トイレの花子さん”や“口裂け女”など有名なモノは定番として何度も映像化されてきました。
 
その都市伝説もインターネットの普及により新たなフェーズへと入りました。
“2ちゃんねる”などのネット掲示板には真偽が定かでない噂話が大量に投稿されており、投稿者の匿名性もあってネット都市伝説として一大ジャンルを確立しました。
しかもネットの特性として拡散力の強さは都市伝説が時間をかけて広がっていった歴史を、短期間で達成してしまいます。
よって、既にネット都市伝説の中には殿堂入りの名作として語り継がれる話も出てきました。
 
そんなレジェンド級のネット都市伝説を次々と映画化しているのが、永江二朗監督です。
元々『2ちゃんねるの呪い 劇場版』という作品で長編監督デビューを果たしており、ネット都市伝説の申し子のようなキャリアです。
その後、いくつかのホラー作品を経て、コミック『トモダチゲーム』の映像化で名を馳せます。
 
転機は、2020年制作の『真・鮫島事件』でしょう。
2020年といえば、コロナ禍真っ只中。
デビュー作でも扱ったネット都市伝説“鮫島事件”をモチーフに、コロナ禍の制限を逆手に取ったリモートホラーを完成させました。
その後もコロナ禍の制限を盛り込んだ作品が色々と撮られましたが、いち早く取り組んだ永江監督の行動力・実現力はお見事です。
そして、続いて取り組んだ『きさらぎ駅』がスマッシュヒットを飛ばしました。
 
そのチームがネット都市伝説映画化第三弾として選んだのが『リゾートバイト』。
とある島に旅館の住み込みバイトとして訪れた若者たちが出くわした恐怖を描いたお話です。
原作となるネット都市伝説が持ち合わせていた多彩な要素が、映画ジャンルのごった煮というアレンジで最終的に表現されおります。
ネット怪談最終章と謳われていますが、まだまだ映画化を進めていってほしいところです。

【六本木 蔦屋書店のオススメ:鑑賞前後に観たい作品】
 
 
『きさらぎ駅』
2022 | 監督:永江二朗
 
ネット都市伝説の中でも大ネタとし名高い話を、永江監督があっと驚くツイストを加えたアレンジで映画化しました。
元々人気の話でもあったので公開前には映画化を不安視する意見もありましたが、蓋を開けてみればFPSゲームを意識した大胆な一人称表現と、ある種爽快感まで感じる胸糞エンディングに話題騒然。
ここで見出した勝利の方程式は間違いなく『リゾートバイト』でも生かされています。
 
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