梅田 蔦屋書店のコンシェルジュたち 永山[文学]

※こちらのインタビューは2020年の5周年企画として行われたものです
 
 
私と本、私と梅田 蔦屋書店

私にとって本は空気のようなものです。自然にそこにあるもので、本を全く開かないという日はありませんし、仕事用ではなく、自分の好きな本を読まない日が続くと、なんだか息苦しくなります。 
今、一番怖いのは老眼で、将来、本が読めなくなることです。いつか文字が読めなくなるかもしれない時のために、点字を習ったこともあります。(もう忘れてしまいましたが。)

そんな私が生きていくのに本は必要ですが、私の友人や家族は本をそれほど読みません。それで全く構わないのですが、それだからか、梅田 蔦屋書店で働く人たちと話すと、こんなに本を好きな人たちがいるのだと嬉しくなります。 
   
好きな本について語れる喜び。
知らなった本について、知る喜び。

お客様ともそういった気持ちを分かち合える時に、一番喜びを感じます。
願わくば、これからもそういった気持ちを伝えられる梅田 蔦屋書店であるように。

本を読むことの楽しさを伝え続ける場所。
それが私にとっての梅田 蔦屋書店です。
 
 
 
梅田 蔦屋書店の5年間 

梅田 蔦屋書店の5年間は、3番目の子が生まれてからとほぼ重なっています。
オープン準備をしていた妊娠期間、ひたすらトイレの場所を案内し続けた目のまわるようなオープン、産休を挟んで復帰してからは、常に次のフェアの準備に追われていたような気がします。

その中でも、特に思い入れのあるフェアは「梅田 蔦屋書店 夏の100冊」。
出版社が選んだものでなく、書店オリジナル、一から自分たちで作る文庫フェアです。毎年テーマを選び、一冊一冊コメントを文学チームのコンシェルジュたちがつけ、帯を作り、リーフレットも作ってもらいます。そんな「梅田 蔦屋書店 夏の100冊」ですが、早いものでもう今年で5回目を迎えます。読み継がれていく定番の本をきちんとおすすめしつつ、その中に新しいものや実験的なものも入れていくことも忘れないようにしたいと思っています。

そして、ライフワークとして詩歌の本を紹介していくことも続けていきたいと思っています。
まだまだ出来ることは沢山あります。
少しずつ、次の5年に繋げていきたいと思います。
 
 
梅田 蔦屋書店を代表する一冊

 
 
 
書籍名:『たやすみなさい』
著者:岡野大嗣 出版社:書肆侃侃房
 
発売以来、短歌の本という枠を超えて、新しい読者層を広げ続けている岡野大嗣さんの第2歌集『たやすみなさい』。かつて、確かに感じたことのある、自分でも忘れていたような思い。自らの内にある、揺らぎや余白。落ち着かない心をしんと静かに、平らにしてくれる、眠る前に読みたい一冊です。
 
 
 
 
私を代表する一冊

 
 
書籍名:『百閒先生月を踏む』
著者:久世光彦 出版社:朝日新聞社
 
久世光彦が残した最後の小説、実はこの小説、全く読んでいません。訃報に驚き当時しばらく読む気になれなかったのですが、突然、もう久世さんの新刊は出ないことに気が付きました。それからずっと読まずに置いています。偏愛する作家の新刊が、自分の本棚に1冊まだ残されていることを、折に触れ目に入るこの明るく黄色い、月のような本を見ると思い出します。その本は私の中で、とても確かな位置を占めています。
 
 
コンシェルジュプロフィール

1979年高知生まれの高知育ち。大学在学中に、小説の生まれた場所を訪ねてバックパッカーとして世界一周の旅に。卒業後、中国語の語学書を出す出版社に営業として入社。その後新刊書店、大阪の老舗古書店を経て梅田 蔦屋書店に。好きな作家は幸田文、須賀敦子、山田風太郎、小林勇、鷺沢萠、吉野朔実、デュラス、サローヤン。趣味は俳句。
 
 
 
 ワークスタイル 渡邉 アート 山下 雑誌 久住 雑誌 沖野 洋書 大山 文学 北村 文学 河出 古書 小林  
 
 

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