梅田 蔦屋書店のコンシェルジュたち 河出[文学]

※こちらのインタビューは2020年の5周年企画として行われたものです
 
私と本、私と梅田 蔦屋書店

その本は図書館の棚に並んでいた。なぜ選んだのかは覚えていない。
ページの上に海があった。土があった。書くことの喜びが、書いたものを奪われる苦しみが、故郷への愛情が、故郷を失った悲しみがあった。

作家の名前はレイナルド・アレナス。本は「夜になるまえに」。私は中学生だったと思う。
彼の本で地元の図書館や書店で見つけられたのは、当時邦訳のあった四冊のうち三冊だけだった。これは原書で読むしかないな、と思った。それでスペイン語を勉強することにして、東北の田舎から大阪の大学に進学することにした。

大阪には途轍もなく大きな書店があり、地元では見つけられなかったアレナスの翻訳の最後の一冊を見つけることができた。
大学ではスペイン語を学び、アレナスの本を読み、論文を書いた。大学を出て、大学院も出て、何をすればいいのかよくわからなくなった。就職したが、仕事はずっと続けていける気がしなかった。そんな時、偶々新聞をめくっていて、梅田 蔦屋書店という書店の募集広告をみつけた。

つまり本は、私の人生を狂わせるものだ。狂わせてくれてよかったと思っている。
 
 
 
梅田 蔦屋書店の5年間 

五年ってけっこう長い。五年あれば赤ん坊は走れるようになるし、小学生は高校生になる。
それでも、なんだかもっと経ったような気がするのはなぜだろう。
最初は洋書担当だった。しかしその後世界文学と雑誌も担当するようになり、その後文学がメインになった。その中でずいぶんいろいろな人に会った。
 
本の表紙で名前だけ知っていた人たちと話やメールのやりとりをするようになり、いろいろな出版社を訪問し、イベントを開催した。たくさんの本との出会いがあった。売りたくて売った本、売りたかったのに売れなかった本、POPも作りコメントも書いたのに一体何がいけなかったのか一冊も売れない、そんなこともある。
 
わかってきたのは、本は「置けばいい」というものではないということ。ポスターを作るなら、この本にはどんなデザインが効果的か? 出版社の協力は得られないか? 他の店に展開を広げることはできないか? イベントはできないか? もっと早く気づけよ、と思うようなことを、今さらになって学んでいる。
 
今まで見えていなかったものが見えてくる、ブレイクスルーの瞬間が来るように、視野を広げる訓練をしようと思う。。
 
 
梅田 蔦屋書店を代表する一冊

 
 
 
書籍名:『君の名前で僕を呼んで 』
著者:アンドレ・アシマン  出版社:オークラ出版
 
世界文学担当になって最初に仕掛けた本です。あまりにも売れすぎて、オークラ出版さんのご厚意で重版があがったら即入れてもらったり、綱渡りながらなんとか在庫を切らさずにすみました。発売からほぼ二年経った今でも売れております。
 
 
 
私を代表する一冊

 
 
書籍名:『夜になるまえに』
著者:レイナルド・アレナス 出版社:国書刊行会
 
もはや読み返す必要がないほどに読んで、血肉になっている本は、私にとっては「指輪物語」とこの本。これからまた一人の作家を読むためだけに一つの言語を学ぶことがあるかわからない。と思っていたら今、また、この言語で本が読めたらなあと思う言語に出会ってしまいました。
 
 
コンシェルジュプロフィール

東北でのんびりと育ち大阪に移住。けっこう長く住んでいるのですが関西弁は基本的にはしゃべれません。子どものころから海外文学が好きです。日本語、英語、スペイン語、フランス語の順に得意ですが、どの言語でもしゃべるのは苦手です。本の他に好きなものは映画で、これまでも映画原作本の梅田 蔦屋書店オリジナルカバーを作ったり、「パラサイト」のパネル展を行い韓国文学を売ったりしています。これからもこれはという映画があったらぜひコラボしていきたいです。「三つ編み」「中央駅」「外は夏」「ベル・カント」「隠された悲鳴」…これまで素敵な本の数々に書評を書かせていただきました。これからも厚かましく「書かせていただけませんか?」とお願いしていこうと思います。今興味があるのは絶版本の復刊です。「リービング・ラスベガス」「ぼくの命を救ってくれなかった友へ」などなど、復活してほしい本がありすぎる。ミステリーが大好きで、不定期でBOOK&COMMUNITY「ミステリー研究会」を開催し、おすすめミステリーを紹介しまくっています。
 
 
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