【六本木ホラーショーケース-ARTICLE-】 #017 様々なトレンドを取り込み新たな拡張の形を示した『変な家』

“活きのよいホラー映画、ご紹介いたします”

【六本木ホラーショーケース】
六本木 蔦屋書店映像フロアがお贈りするホラー映画紹介プログラム。
ホラー映画を広義でとらえ、劇場公開作品を中心にご紹介し、そこから広がる映画人のコネクションや文脈を紐解いていきます。
 
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今回ご紹介するのは、『変な家』です。
 
ポスター画像
(C)2024「変な家」製作委員会
 
『変な家』
2024 | 監督:石川淳一
 

この作品は、中々変わった成り立ちで映画へと辿り着いた作品です。
元々はオモコロというWebメディアで覆面ライターである雨穴さんが投稿した記事でした。
オモコロは面白さを重視したエンタメサイトで、雨穴さんは日常に異質なものを持ち込むホラーテイストなオカルト系記事を手掛けることで有名です。
その記事を自身のYouTubeチャンネルにて動画として公開したところ一気に広まり、そこから様々なメディア展開がなされました。
コミカライズや朗読劇などがありますが、今回の映画は小説版として加筆されたモノを原作としています。
 
 
物語としては、知り合いから紹介された“変な”間取りの家の謎を解き明かしていく中で、衝撃の事実へと辿り着くというモノです。
YouTube発のホラーストーリーということで、比較的新しいメディアから生まれた作品として重要な存在だと感じます。
そして、陰謀論が台頭し考察がブームとなる時勢において、このミステリー要素がふんだんに取り込まれたホラーというのは近年のトレンドとも言えます。
同じくWeb記事からスタートして書籍化された『近畿地方のある場所について』もこの路線を象徴する作品です。
 
他にも小野不由美さん原作の『残穢』は、虚実の入り混じった物語で世にも恐ろしい穢れの連鎖を描き、こちらも映画化されました。
もっとも安心できる場所である“家”が恐怖の対象となる点では『変な家』との共通点も見えてきます。
実はこちらの要素もホラー・ミステリーではトレンドになりつつあります。
『スイート・マイホーム』では、マイホームを新築したことから、とある恐怖に襲われる一家の物語が展開します。
『事故物件 恐い間取り』は、芸人である松原タニシさんの実録本を元にした事故物件を巡るホラーです。
ただ、この作品は設定やキャラクターの配置だけ原作に寄せつつも、後半に大胆な脚色を施しており、それがかなりの賛否を呼びました。
それは『変な家』映画化にも言えることです。
元のYouTube動画では、雨穴さんと電話越しの設計士・栗原さんとのやり取りだけで完結しています。
正直、この物語の最もゾッとする、気付いてしまった妄想が現実として目の前に現れる瞬間というのはこの動画で全て達成してしまっている気もします。
故に映画化の焦点は、小説版で加筆された後半の展開を映像で見せるというところに注力されています。
あまり書くとネタバレになってしまいますが、いわゆる因習村モノへとジャンルを横滑りさせていく試みがなされています。
これも劇場版『ミステリと言う勿れ』や『ヴィレッジ』、『みなに幸あれ』でも描かれているサブジャンルです。
 
このように『変な家』は、自身がトレンドを生み出した作品でもあり、貪欲に他のトレンドも組み込んでヒットを狙った、現代のホラーミステリーの象徴のような作品だと言えるのではないでしょうか。
 
【六本木 蔦屋書店のオススメ:鑑賞前後に観たい作品】
『クリーピー 偽りの隣人』
2016 | 監督: 黒沢清
 
『変な家』は間取りの謎を追うホラーミステリーでしたが、こちらは立地の違和感が鍵となります。
コの字型に配置された3軒の一軒家で起こる恐ろしい出来事が描かれますが、この作品を見た後は同じ立地を直視できなくなります。
 
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