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広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.212『プロジェクト・ヘイル・メアリー 上・下』アンディ・ウィアー /小野田和子 訳/早川書房

蔦屋書店・江藤のオススメ 『プロジェクト・ヘイル・メアリー 上・下』アンディ・ウィアー /小野田和子 訳/早川書房
 
 
さて、この本をどう紹介したものか。
 
とにかく凄く面白かったし、とても人に勧めたくなる本なので、全力でお勧めするべきなのですが、もう一方で、この本は予備知識とかネタバレとか全く無しで読んだほうが絶対に楽しめるはずなので、何も伝えたくない。という思いもあるのです。
 
さて、どうしたものか。
なんとかこの本を読みたくなってもらえるように、でもネタバレなしでお勧めしてみようと思います。
 
最小限の情報を伝えるとすると、この本はSF小説です。
表紙を見るとわかると思うのですが、宇宙が舞台です。
そこに加えて、この本がどんな本かというと、著者を知ることで雰囲気は伝わると思いますので、著者についての情報を書いておきましょうか。
 
この作品の著者はアンディ・ウィアーです。
一番わかりやすくお伝えするなら、映画「オデッセイ」の原作『火星の人』を書いた人と言うのがいいでしょう。
リドリー・スコット監督で主演がマット・デイモン。火星に1人置き去りにされた主人公の宇宙飛行士がどうやって火星で生き延びるか、そしてどうやって彼を救いに行くか、というドラマを描いています。
 
アンディ・ウィアーは根っからのSFファンで、さらにすごいのは15歳の頃からサンディア国立研究所でプログラマーとして働いていたそうです。その後も大学でもコンピューターサイエンスを学んで、様々なソフトウェア会社で働いていたそうです。
そんなバリバリの理系の人なので『火星の人』の中でも科学的な考証が凄まじく、SF小説とはもちろん空想の物語ですが、主人公の行動や起こる出来事にものすごいリアリティーがありました。
 
本作の『プロジェクト・ヘイル・メアリー』でも、使われている技術、起こる出来事、その解決作、などのほとんどすべてが最新の科学知識に裏打ちされた記述になっているので、それら全てがリアリティを持って迫ってきます。
 
そしてこの小説の良さとは、えっと、、、なんといったらいいのでしょうか。
小説を読むときにわたしたちが感じたいほぼすべての感情を満たしてくれて、未知のものを知るという知識欲も満たしてくれて、読み終わった後に凄く読んで良かったと思わせてくれて、ぜひ読んで!と人に勧めたくなる、そんな本です。
 
人間が思考実験的に、その創造力を限界まで広げて、しかし科学的考証は最新のもので、リアリティをもたせて、それでいて未知のものを描くのがSF小説だと思うのですが、そんなSFが好きな人(わたしも、SFについて詳しいかと言われると、本当のマニアには到底叶いませんが、いち読者としてSFを読むのが好きです)が本当に読みたいSFって、こんな小説だよな!と大きな声で言いたくなる本です。
 
もちろん非常に優れたジャンル小説というのは、簡単にジャンルを超えてしまいますので、SF小説には興味がないという人にも絶対に楽しめます。ただただひたすら面白い小説です。
 
次の情報としては、『火星の人』を原作とした映画「オデッセイ」のヒットもありましたが、実はこの『プロジェクト・ヘイル・メアリー』もすでに映画化が決まっています。
 
主演は「ファースト・マン」で、ニール・アームストロング役をやったライアン・ゴズリング。ぴったりとしか言いようがありません。
監督は「スパイダーマン スパイダーバース」のクリエイターコンビ、フィル・ロードとクリス・ミラーに決まったそうです。
こうなると面白くなることは間違い無いですね。
 
さらに加えてこの本の面白さを保証する情報としては、大の読書好きであり、選ぶ本のセンスが抜群にいいことで有名な元アメリカ大統領のバラク・オバマさんが2021年の必読図書24選の中に『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を入れていました。
これは信頼がおけますね。
 
ここまで、この本の内容にできるだけ触れず、でも読みたくなってもらえるようにお勧めしてみたのですが、どうでしょうか。読みたくなりました?
 
これ以上話していると内容を話したくなるので、この辺にしておこうと思います。
 
本当は言いたい! 
アレがすげーアレだし、なんといってもアレがアレするなんて!
 
でもやめておきます。
皆さんの楽しみを奪ってはいけないので。
それでは、読んだ後でまたお話しましょう。

 
 
 
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