include file not found:TS_style_custom.html

広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.262『ゲーム反対派の僕が2年で4000時間もゲームをするようになった理由』小藪千豊/辰巳出版

蔦屋書店・古河のオススメ『ゲーム反対派の僕が2年で4000時間もゲームをするようになった理由』小藪千豊/辰巳出版
 
 
著者の小藪千豊さん。小藪節が脳裏に木霊するかのような書名です。吉本新喜劇の元座長、各メディアでご活躍の現在も、喋り口調は健在、声を聞けばわかるほどの存在感。
大阪の劇場へ幾度も足を運びましたが、名だたる大先輩(Mr.オクレさんなど)の中で小藪節が飛ぶ舞台は圧巻です。
 
その頭脳明晰な小藪さんが、本を出版されました。
なぜ惹きつけられたのか?きっと、日々、現在進行形で心配されている親であれば理由はお解りかと思います。
ゲーム反対派(健康上の心配)の親にとって、直近の悩みは、コロナ禍でデジタル活用が発展したことです。日本も世界に近づいたことは素晴らしいのですが、教育現場である“家庭”においては、画面に向かう子供の姿に、否定も肯定もできなくなりました。
子供は、学校や塾、習い事でPCやipad等を使いこなす環境に入り、親は使い方もままならず挙句には子供に教えてもらう状況に。
そのようなコロナ2020年から、ゲーム反対派の小藪家では子供とどう関わり、家族にどのような心境変化があったのか、ゲームやYoutubeと共存していくには?
その様子を綴った本書を、同じ親として興味深く読み進めました。
 
本書で、
「パソコンはOKだけど、ゲームは反対。この姿勢を崩さないことが、子供の将来のためになる」
ですよね、そうそう、同感!と思いながら。しかし、小藪さんは子供とのコミュニケーションを取る一つの手段として、心境の変化に苛まれます。葛藤の嵐です。
そしてゲームの魅力を聞くうちに、徐々に気持ちが傾きます。
 
「感度遅いよね、パパは。あといちいち止まって編集すんのやめなあかんな」
「なるほど」
「パパはもっと敵の位置把握をせなあかんわ」
「それができんのよ」
 
「教育として、正しいのかどうかはわかりませんが、同じ経験をすることで、同じ目線になり、子供に少し寄り添えたような気がして単純に嬉しく思っています」
 
今までの親目線の声がけから、子供にゲームの相談をするようになった会話には、親自身が変わろうとする努力が見られます。ゲームにはまったから言えることを、最後にこう述べています。
 
「本業と健康、感謝を疎かにする奴はゲームすな。その人が一番やらなければならないことがみんなあるはず。学校、仕事、家庭、勉強、治療、修行…それらが疎かになってはいけない」

おそらく子育てに正解はありません。しかし、子供がなぜ夢中になるのか、何が楽しいのか、聞いた内容を理解できなくても、子供の考え方を認めていく責任が親にはあるように思います。
小藪さんのような発展途上の育児は、今後も楽しみです。真似はできないかもしれませんが、親子のコミュニケーション方法は色々あります。本書が一つのヒントになればと思います。
 
 
 

SHARE

一覧に戻る