広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.62
【蔦屋書店・花村のオススメ 『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち』イルセ・サン 著/ 枇谷 玲子 訳・ディスカヴァー・トゥエンティワン】
左利きの割合は、10%
血液型のAB型は、9%
HSPは、15%
だそうです。
え?最後がよく分からなかった?
割合は多いけど、あまり知られていないHSP。
高い知能を持つ動物の15%はHSPの性質を持っているそう。
「ハイリー・センシティブ・パーソン」
とても繊細な人という意味の心理学の概念です。
・音や匂いなどの微かな違いに気が付く。
・一度に多くの刺激を受け取るからすぐにキャパを超える。
・熟慮して、初めて行動に移す。
・良心の痛む行動は、豊かな想像力で、イメージしただけで挫折する。
・誠実で思慮深いので、戦い、競争がすごく苦手。
「外交的で、活発で、スピーディ、積極的な人」が、もてはやされる今の社会。
その真逆の性質を持つ人たち。
社会の流行のせいで、否定され、矯正対象とされ、繊細な心で強くその空気を感じ取り、自己肯定感の低い人が多いというHPS。
その性質の活かし方に焦点が当てられています。
著者はHSP専門カウンセラー兼研究者のイルセ・サンさん。
「鈍感で活発な草食動物の群れがいたとします。危険な牧草地に飛び込んで、すぐに食べられてしまうでしょう。その群れの中の15%が敏感で慎重なら、群れの生存率は格段に上がりますよね。それは社会でも言えることですよね。」
「タフ(鈍感)であることが美徳とされますが、あなたが鈍感になると長所が無くなってしまいます。活かせる環境では、唯一無二の長所なのですから。」
自身もHSPで、その豊かな感受性を持ってHSPを研究しているので
とても語り口が暖かいのです。
「自分を変える」ではなく
「向き合い、受け入れ、活かす」
それも無理強いするものではなく、繊細さを活かした方法で。
全てを敏感に感じ取る人が心地よく暮らしていくために。
一つのセラピーを受けているような気分になる本です。
私は
「60点でHSP傾向有り」
で102点の高得点をマークし、首を縦に振りながら読んで、筋肉痛になるかと(笑)
自分や世界を見る視点が一つ増えました。
これが本を読むことの良さだと私は思うのです。
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