広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.264『灯をともす言葉』花森安治/河出書房新社
蔦屋書店・野津のオススメ『灯をともす言葉』花森安治/河出書房新社
昨年末、何かと忙しくて大掃除はできないにしてもちょっとでも部屋を片付けたいと思い、本棚の前にたまった積読をきちんと棚に入れようと手にしたその本たちの中に、ちょっとモダンな雰囲気の素敵な表紙が目に入り、なんとなくパラパラとページをめくってみました。
それは『灯をともす言葉』という文庫本。
それは『灯をともす言葉』という文庫本。
冒頭にこんな言葉がありました。
「せめて子供の持っている、美しいものを素直に美しいと思える、あの感覚をこわさないだけの、それを逆につぶしてしまわないだけの神経は持っていたいと思う。」
自分はどうだろうか。ハッとしました。そしてそこから止まらなくなり、片付けをそっちのけで一気に読み進めてしまいました。
「せめて子供の持っている、美しいものを素直に美しいと思える、あの感覚をこわさないだけの、それを逆につぶしてしまわないだけの神経は持っていたいと思う。」
自分はどうだろうか。ハッとしました。そしてそこから止まらなくなり、片付けをそっちのけで一気に読み進めてしまいました。
著者の花森安治さんは1911年兵庫県生れの昭和を代表する編集者、グラフィックデザイナー、ジャーナリストであり、最盛期は100万部を誇った生活雑誌『暮しの手帖』の創刊者で、生涯にわたり編集長を務められました。豪放な性格、反骨精神と、たとえばスカートをはくこともあった等の奇矯さながら真摯な行動でも知られていました。おかっぱ頭を貫き、対談したある婦人代議士は最後まで女だと思いこみ、意気投合して「おたがい、女性のためにがんばりましょう」と握手までして帰った等、数々の逸話が残されています。
そしてこの『灯をともす言葉』は、「美」「世の中」「戦争」「おしゃれ」といった、私たちの生活に密接に関わる事柄についての考え方を、花森さんの視点で教えてくれる一冊です。
花森さんは本書の中で、暮らしの中での「もの」との関わり方の大切さを強調されています。
「これがいい」ではなく、「これでいい」の考え方は、ファッションや普段使いの食器など日常の中のものだけでなくあらゆるものを選ぶ場面で見られます。日々の「もの」との関わり方は、自分の人生としっかりと向き合っているのかということに繋がっているのです。
「もの」を大切にするということはどうすることなのか。自分なりの大切にする方法を考えてみることは、丁寧に日々を暮らしていくことに繋がっていくのでしょう。私なりの丁寧な暮らし方を今一度考えなおすきっかけを与えてくれました。
「これがいい」ではなく、「これでいい」の考え方は、ファッションや普段使いの食器など日常の中のものだけでなくあらゆるものを選ぶ場面で見られます。日々の「もの」との関わり方は、自分の人生としっかりと向き合っているのかということに繋がっているのです。
「もの」を大切にするということはどうすることなのか。自分なりの大切にする方法を考えてみることは、丁寧に日々を暮らしていくことに繋がっていくのでしょう。私なりの丁寧な暮らし方を今一度考えなおすきっかけを与えてくれました。
本書にこんな言葉があります。
「物を大切にするということはやさしいこころがないとできないことだった」
やさしいこころ。果たして自分は物に対してもやさしくできているのでしょうか。物を選ぶとき、それを長く使うことを考えて選ぶことが大切だと頭ではわかっていても、ついつい流行に流されてすぐに飽きてしまったり、この値段なら飽きたら手放せばいいと思って買ってしまうことも多いと改めて反省しました。
「物を大切にするということはやさしいこころがないとできないことだった」
やさしいこころ。果たして自分は物に対してもやさしくできているのでしょうか。物を選ぶとき、それを長く使うことを考えて選ぶことが大切だと頭ではわかっていても、ついつい流行に流されてすぐに飽きてしまったり、この値段なら飽きたら手放せばいいと思って買ってしまうことも多いと改めて反省しました。
花森さんは1978年に心筋梗塞により逝去されました。本著に書かれている言葉は40年以上前のものなのに全然古く感じません。それどころか、より一層重みが増して心に突き刺さり、背筋が自然と伸びてきます。静かな口調の奥に潜む、生きていくこと、暮らしていくことへの激しい想いは、ただなんとなく毎日を過ごしてる私たちに火を灯す言葉になるかもしれません。
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