広島 蔦屋書店が選ぶ本 Vol.13

【蔦屋書店・濱野のオススメ 『日本再興戦略』

 

今、私に一筋の希望の光を与える本が現れた。

 

『日本再興戦略』

落合陽一。現代の魔法使いとよばれ、世界でもっとも注目される科学者のひとりだ。

大学教授、メディアアーティストとしても活躍している。

そんな彼がこの停滞感漂う日本を救うためのひとつのモデルをこの本で表明している。

革命を起こすわけではない、アップデートするのだと。

 

平成2年(1990年)生まれの私にとって日本が元気であった頃のことは、あまり記憶にない。むしろ知らないと言ったほうがいい。子どものころからテレビのニュースを見れば暗いものばかりで、生まれる時代を間違えたかな?と思うこともあった。

 

社会学者である古市憲寿さんの『絶望の国の幸福な若者たち』という本がある。全体としては現代日本の若者について論じたものであるが、その中に興味深い分析が載っていた。

 

2010年に行われた内閣府の「国民生活に関する世論調査」で20代の若者に以下のことを聞いた結果である。

・現在の生活に満足しているか?      →7割がYES

・日ごろの生活の中で悩みや不安はあるか? →6割がYES

・自国の社会に満足しているか?      →6割がNO

生活に満足していながら、不安を感じ、社会に不満を抱えている。

これはどういった状態なのだろう?

「元京都大学教授の大澤真幸は、調査回答者の気持ちを以下のように推察する。もはや自分がこれ以上幸せになると思えない時、人は「今の生活が幸せだ」と答えるしかない。つまり、人はもはや将来に希望を抱けないときに「今は幸せだ」「今の生活が満足だ」と回答するというのだ。」

 

私自身のことを考えたとき、衣・食・住に不自由したことがないので幸せといえば幸せなのかもしれないが、今まで夢や希望を抱けといわれても絶望感を深めることしかなかった。

私は世界情勢や技術発達の移り変わりの速さに、日本という大きすぎる国ではもはや臨機応変に対応できないと思う。意思決定に時間がかかるからだ。その結果がバブル崩壊から立ち直れない今の日本だと思う。

 

そんな私に希望を与えてくれたものは落合氏の以下のような主張だ。

 

「地方自治を強化して、ローカルな問題を自分たちで解決できるようにすること。つまり、帰属意識と参加意識、自分の選択が意味を持っている実感を、それぞれの人々が感じ、相互に依存することから、日本再興は始まっていく」

中央でなく地方から、自分の選択が意味をもつ実感から、日本は変わっていくという。

しかし、どのように個々人の意識を変えていくのかについては、具体的には書かれていない。具体的に書かれているのは、お金の集め方だ。テクロジーの発達に加え、日本という地域の特殊性がお金を集めることに向いているのだという。そこが、説得力をもって記述されている。それはあえて、意識を変えることよりも、お金の話に重点を置いて書いているのだと私は思う。なぜかというと、政党や政治家がなにか新しい政策を訴えて、選挙に出たとする。それがどれだけ魅力的なものであったとしても、「じゃあ、財源はどうするの?」というツッコミが必ず入る。財源を確保する方法を具体的に提示することから、自由な発想が生まれ、それがひとびとの意識を変えていくということを示唆しているのだろう。

私自身の夢や希望が抱けないというのもお金の話だ。人口減や不況で税収が下がり、これまでの社会保障政策を維持するのは、難しいだろう。年金だってもらえるか、わからない。先細りになっていく日本のイメージしかなかった。それがこの本では、説得力のあるビジョンさえ描くことができれば、お金は集まり、面白い未来が描けるという。これが希望でなくてなんだろう。

 

もう一つ落合氏の提案で驚いたものがある。

 

今まで少子高齢化、人口減少はネガティブなイメージしかなかった。しかし、これは日本にとって大チャンスだと彼は言うのだ。その理由はぜひこの本を読んで確かめて欲しい。

 

マイナスにしか考えることが出来なかった物事が、テクノロジーの発達や、日本が直面している事実を再度見直すことで武器になると教えてくれるのだ。

日本は良くなるというビジョンが示せることはわかったが、わたしたちは何をすればいいのだろうか?

 

落合氏は、以下のように書く。

「今は技術革新やインターネットでの最先端技術の創発速度が、人間の学習スピードより速い時代です。

これからの時代は、「自分とは何か」を考えて、じっくり悩むのは全然よくありません。自分探し病はだめな時代です。

それよりも、「今ある選択肢の中でどれができるかな、まずやろう」みたいなほうがいいのです。」

 

できることからやる。言われてみればあたりまえのことのように感じるが、私はなかなか出来なかった。だがこれからは、頭で考えるよりも、まずやってみることにしよう。

 

落合氏が考えるようなビジョンを多くの人が共有や議論をし、実行できたとしたら皆が本当に生きたかった最高の日本、また最高の自分自身に出会えるかもしれない。

 

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