include file not found:TS_style_custom.html

広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.368『一九八四年』ジョージ・オーウェル 著 高橋 和久 訳 早川書房

蔦屋書店・神崎のオススメ広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.368『一九八四年』ジョージ・オーウェル 著 高橋 和久 訳 早川書房
 
四十年後を想像してください。
明るく楽しい未来、ユートピアを思い浮かべましたか。それとも暴力や争いが絶えない暗黒の世界、ディストピアでしょうか。

この作品『一九八四年』は一九四九年に発表されました。オーウェルが四十年後として描いたのは全体主義、独裁主義の恐怖の世界です。当時の世界情勢 ー第二次世界大戦やその後の東西冷戦などー が、オーウェルに未来への希望を抱かせなかったのかもしれません。
第三次世界大戦後、オセアニア、ユーラシア、イースタシアの三つに分割された世界。主人公ウィンストン・スミスは「ビッグ・ブラザー」という絶対的指導者が党として統治するオセアニアで暮らしています。市民生活はすべてテレスクリーンという機械と町中に仕掛けられたマイクによって二十四時間監視され、彼は歴史や出来事を国家の都合のいいように書き換える仕事に就いています。党の体制に疑念を持っていますが、それが少しでも知られると思考警察に逮捕されてしまいます。
 
ある時、ウィンストンはジュリアという女性に出会います。彼女も彼と同じように党に疑問を持ち、そして彼に好意を持っていました。二人は愛し合うようになり、党と無縁の地区にある老人が経営する古道具屋の二階に二人の隠れ家を借ります。
またウィンストンは、党の中枢ではあるけれど、きっと自分と同じ考えを持っていると信じたオブライエンにすべてを話し、反体制派「ブラザー同盟」に入れてくれるよう頼みます。
 
けれども誰かを信じるということは、ウィンストンが暮らすオセアニアでは命取りでした、古道具屋の主人もオブライエンも、ビッグ・ブラザーの信奉者であり、忠実な党員だったのです。ウィンストンとジュリアは逮捕され、引き裂かれます。待っているのは拷問。反体制派として殺すのではなく、ビッグ・ブラザーを愛し信じさせるための拷問。
 
読み終えた後、目を背けたくなる拷問の描写もですが、描かれた全体主義社会への恐怖が頭から離れませんでした。
いま、私たちが生きている世界はどうでしょうか。
ここまでの恐怖政治、全体主義は存在しないかもしれません。
 
しかし圧倒的なカリスマ性を持った指導者が現れ、それに同調する人々が出てくると状況が変わることもあり得ます。
平和や自由を保ち続けるのには多くの人の力と努力が必要です。
明るい希望にあふれた未来がいつでも描ける、そんな社会、世界であればと思います。
 

 

SHARE

一覧に戻る