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広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.373『アフター・ユー』一穂ミチ  文藝春秋

蔦屋書店・飯田のオススメ広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.373『アフター・ユー』一穂ミチ  文藝春秋
 
本作は愛する人の不在と喪失を細やかに描いた作品です。
読む進めるごとに、大事な人との別れとその過去や想いを知ることの痛みや苦しみが心に反芻されます。
 
同性している恋人がいない。タクシー運転手の青吾は仕事を終えて家に帰るが、恋人の多美が旅行から戻っていないことを不安に思います。多美と連絡がまったくとれないことに焦る青吾にもとに捜索願を出していた警察から、多美が見知らぬ男性と五島列島の遠鹿島で海難事故に遭ったとしらせが届きます。そして突然現れた男性の妻の沙都子の提案で、死の謎を探りに二人は遠鹿島へ向かうことになります。
 
長年付き添って暮らしていたのに、写真もなくや家族のこともよく知らない、多美と同性しているとはいえどこか後ろめたく希薄な関係を好む青吾と、夫の死と島の過去について探偵役として解き明かしていく沙都子。この二人を中心にしてファンタジーやミステリーの要素も入れつつ物語は進みます。この恋愛小説らしくない設定が最後に喪失の物語としての大きなファクターになっていたことに読後に気がつかされます。
 
ただただ泣ける切ない物語にならず、愛する人の想いを知り悲しみから前に進むという物語性が本作の良さであると思います。

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