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広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.231『お前、タヌキにならねーか?』奈川トモ/一迅社

蔦屋書店・野津のオススメ『お前、タヌキにならねーか?』奈川トモ/一迅社
 
 
あなたは、突然出会ったばかりのタヌキに「お前、タヌキにならねーか?」と言われたら、どうしますか?
 
カン カン カン…踏切の音が鳴り響く中、その踏切をくぐろうとする女性に、
「死ぬのか?」 「人間やめるならタヌキにならねーか?」
とタヌキが声をかける場面からこのお話は始まります。
 
タヌキが何故言葉をしゃべれるのか、それは今のところ明らかにされていません。
私の予想では……おっと、それは言わない方が良いですよね。皆さんも読みながら考えてみてください。
タヌキたちは人間になりたがって山にタヌキがいないらしく、タヌキのこがね丸は山の住人を増やそうと、人間たちをスカウトしに街へ繰り出します。
そこで、仕事やいじめ、家族関係等、様々な問題をかかえ自ら命を絶とうとしている人に、
「お前、タヌキにならねーか?」と声をかけ、変化の術で人間をタヌキに化けさせます。
人生に迷った人達がタヌキになり、タヌキの目線で自分の置かれている環境を見たり、山の仲間たちと触れ合うことで、今まで気づかなかった大切なことに気づきます。
水がおいしいこと、心から笑うこと、家族と一緒に居られること、そんな日常の幸せに気づき、生きる希望を見出して行くという、こころ温まるコミックです。
 
結局、みんな人間に戻ってしまうので、山の住人は一向に増えないのですが、それでもこがね丸はスカウトを続けます。それにはきっと理由があって、その理由がこれからの展開に重要な意味を持っているのではないかと思うのです。
 
この本は私たちの心に寄り添ってくれる本だと思います。
きっと誰もが大なり小なり、悩みや辛さ、苦しさを抱えながら生きていると思います。
私も常に何かしらの悩みはあり、うまくいかないこともたくさんあって、落ち込んだり、逃げ出したくなることはしょっちゅうです。
それは、この物語の登場人物とは比べ物にならない、ちっぽけな問題かもしれませんが、それでも誰かに寄り添ってほしいと思ったり、何かにすがりたくなることはよくあることで、そんな時に、この本はとても心に染みるのです。
 
と言っても、重いお話ではなく、可愛らしい絵とイケメンのこがね丸(タヌキのこがね丸が人間に化けるとイケメンなのです♡)にほっこりさせられ、くすっと笑わせられるファンタジーです。
 
5月25日には第3巻が発売になりました。
こがね丸はどんな悩みを持つ人に出会い、何を教えてくれるのでしょうか。
何故こがね丸は人々を救っているのか、その理由は解明されるのでしょうか。
そしてなんとなく恋の予感もしているのは私だけでしょうか。
 
私もこがね丸に声をかけられたら、喜んでタヌキになって、自分の置かれている環境をタヌキの目線で見てみたいものです。
 
あなたも何かに悩んで辛くなった時にタヌキに出会ったら、少し人間をお休みしてタヌキになってみてください。
 
もしタヌキが現れてくれなかったら、この本を読んでみてください。
きっと大切なことに気づかせてくれると思います。
 
 
 
 
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