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広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.377『明日、あたらしい歌をうたう』 角田光代 水鈴社

蔦屋書店・飯田のオススメ広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.377『明日、あたらしい歌をうたう』 角田光代 水鈴社
 
本書は音楽を軸に、自分探し、家族のつながり、そして愛する人との出会いと別れを描いた物語です。
青春小説であり、家族小説であり、恋愛小説でもある。読む人の心を必ず揺さぶるだろう。
 
主人公の一人は新(あらた)。亡くなった父親は有名なロックバンドのバンドマンだったと母から聞かされて育ってきた少年だ。そして、もう一人の主人公はその母・くすか。かつて彼女は、そのロックバンドの曲や歌詞に人生を救われた過去を持つ。
 
新は小学生の頃、ピアノ教室で匠人(たくと)と、お絵かき教室で陽菜(はるな)と仲良くなり、中学生になると3人でバンドを結成する。音楽に夢中になる新だったが、ある出来事をきっかけに匠人と陽菜に対して強い劣等感を抱くようになり、疎遠になっていく。

一方で、くすかの生い立ちと、新の父親との出会いと別れも並行して描かれる。過去のくすかは親や家族からの愛情が薄く、他人との関係を築くことが苦手だった。現実に潰されそうになりながらも、友人から差し出される手を取って成長していく新とくすかが物語の中で響きあいます。そしてラストでは、少年の成長と母親の愛情が音楽をとおしてひとつにつながります。

『対岸の彼女』や『八日目の蝉』で重厚な物語を描いてきた著者だが、本書は新人のような瑞々しささえ感じられます。多くの人に手に取って欲しい一冊です。
 

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