広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.139

蔦屋書店・神崎のオススメ『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』加藤陽子 著/新潮文庫
 
 
戦争はいけない。
第二次世界大戦の終結から75年。戦時下の悲惨で凄惨な映像や証言から、私たちは「二度と繰り返してはいけない」ことを刻み込み、学んできました。けれども、「なぜ」日本は戦争を選択したのか。「なぜ」戦況が悪化しても続けたのか。この「なぜ」について私自身、きちんと理解できてはいませんでした。
 
本書は世界へ扉を開き、近代国家の道を歩み始めた日本が明治以降に戦った五つの戦争–日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変と日中戦争、第二次世界大戦–について、東京大学教授の加藤陽子氏が中高生に行った講義のまとめです。
 
中高生への講義なので、語り口は優しく柔らかですが、「何年に何があった」とか「誰がどこで何をした」といった受験のための表面だけの勉強とは違います。
 
講義は戦争被害者でも、戦争加害者でもなく、中立で冷静な視点で続きます。それぞれの戦いにおける日本の状況や関係した人物、指導者や軍人などの言葉や動きが史料やデータで示され、「なぜ」「何のための」戦争だったのか、その判断に至る深い背景を知ることができます。
 
加藤氏は本書の序章の最後で次のように書いています。
歴史を学ぶこと、考えてゆくことは、私たちがこれからどのように生きて、なにを選択してゆくのか、その最も大きな力となるのではないでしょうか。
 
一触即発の現在の世界情勢の中で、戦争放棄の日本の精神をどう維持していくのか。戦争に対してNOと言える日本であるためには。過去の戦争の歴史を学び、考えることは、戦争をしない選択のための第一歩かもしれません。
 
 
 
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