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広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.337『近畿地方のある場所について』背筋/KADOKAWA

蔦屋書店・松浦のオススメ『近畿地方のある場所について』背筋/KADOKAWA
 
 
この本は「このホラーがすごい! 2024年版」で1位を獲得した、作者のデビュー作です。本の表紙も気持ち悪い赤色で帯には「見つけてくださってありがとうございます。」と書かれていました。この表紙と帯に興味が抑えきれなくなり、思わず買ってしまいました。
 
非常に多くの話があり、文章も様々な書き方になっています。そのためお話のすべてが「ある場所」について書かれているのにもかかわらず飽きることなく最後まで読み切ることができます。また、お話の一つ一つも非常にコンパクトで読みやすくなっていました。
 
時間がない方、本を読むのが苦手な方、一冊読み切るのがなかなか難しいと感じている方など本を読みなれていない方にもお勧めできます。
 
この本に掲載されているお話はもともとオカルト雑誌に掲載する予定のもので、作者とその友人である小沢君によって集められたものです。情報を集めていくうちに近畿地方のある場所に「何か」がいるかもしれないことに気づきます。しかし小沢くんは「あと少しですべてわかる気がします。僕あの場所に行ってみます。」といってそのまま失踪してしまいました。失踪した友人を探すためにも、情報を多くの人から提供して欲しい、ということでした。
 
本の中にも様々な情報があります。それらはやはり、すべて近畿地方のある場所について書き記されているものです。林間学校で起きたヒステリー事件のインタビュー記録も、心霊スポットに行った様子を実況している掲示板の書き込みも、ある児童書の文章の一部も、読者からの手紙も、そして筆者の話も。
 
しかし、私は本を読み進めている中ふと疑問に感じました。
なぜ様々な媒体から集めた文章をそのまま載せているのか。
なぜ小沢くんを探しているのにタイトルが「近畿地方のある場所について」なのか。
なぜ筆者が小沢くんを探す様子が本の内容から読み取れないのか。
 
思わず途中で読むのをやめようと思いました。でもやめることができませんでした
 
最後にすべてのお話が繋がり、すべての疑問が解消されます。と同時にゾッとする恐怖に襲われました。わたしは結局、最後まで、そしてすべて理解するまで、読むのをやめられませんでした。
 
筆者の友人である小沢くんを見つけるために是非あなたも、最後までお読みください。

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