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広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.380『年とる力』阿川 佐和子 文藝春秋

蔦屋書店・神崎のオススメ広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.380『年とる力』 阿川 佐和子 文藝春秋
 
「高齢者」という肩書きで呼ばれる日など、まだ先だと思っていた。が、ふと気がつくと目の前に65歳と大きく書かれた扉がある。65歳。ひとつ年をとるだけのはずなのに、なんとずっしりと重たい数字だろう。
 
まず社会環境が変わる。「お疲れさまでした。ゆっくりしてください」と半ば強制的に仕事が終了する(そうではないところも最近は増えているが)。年金の受給が始まる(とても生活はできない)。あれこれシニア割が利用できる(ありがたい)。
身体的には、一番顕著なのが老眼。遠近両用や老眼鏡などメガネを駆使するけど、見えないってつらい。走るのは得意だったはずのに、ちょっと走ると息切れがひどい。もともと朝型人間ではあるのだけれど、とんでもない早朝にスッキリ目覚める、などなど変化に暇がない。
 
諸先輩方は自身の増えていく年齢とどう向き合っているのだろうか。指南書のようなものを探して本書を手に取った。『年とる力』というタイトルに、年を重ねていくには力が必要なんだと、惹かれた。著者は御年72歳という阿川佐和子さん。テレビやラジオでの軽妙な語り口そのままの軽やかな文章は「年とるって案外楽しいわよ」と言っているようだ。
本書を読みながら、阿川さんは日々を、日常を楽しむコツを知っている方なんだなと思った。怒りっぽくなっていたり、イライラした時に、その感情を何かしらの楽しみに変換できたらいつも前向きでいられる。そうか、『年とる力』とは「楽しむ力」のことなのか。
 
日本人女性の平均寿命は87歳という。私は平均寿命までは生きるつもりなので、あと22年。これもきっと長いようであっという間だろう。
阿川さんはこう書かれている。
「なんとかなるさ」と「なるようにしかならない」と「そのうち忘れる」をミックスし、シャッフルし、愛想笑いを振りまいて、(中略)、「なすがまま」の精神でいることが、性に合っているのかもしれません。
 
若さへの憧れやアンチエージングへの思いもあるけれど、無理をせず、無茶をせず、日々をを楽しむ力を身につけて「なすがまま」にゆっくりと年齢と伴走できればいいなと感じている。「年とるって楽しい」と思えるように。
 

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