広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.340『トライロバレット』佐藤究/講談社
蔦屋書店・江藤のオススメ『トライロバレット』佐藤究/講談社
なんなんだこの話は一体!
なんというか、着地点が予想外すぎて唖然としてしまった。
なんというか、着地点が予想外すぎて唖然としてしまった。
主人公は、バーナム・クロネッカー、アメリカ合衆国ユタ州の高校に通う17歳の少年だ。彼は三葉虫が大好きで、化石を売っているお店に行っては、三葉虫の化石を眺め、少しずつ収集して楽しんでいる、ごく普通の少年だった。しかし、彼がある日突然、嫌がらせの対象になってしまう。高校の人気者、コール・アボットがバーナムを標的にえらんだのだ。彼のロッカーはいつも扉を接着されそれをはがさなければ一日がはじまらない、そのうちにコールが投げるジャガイモを頭にぶつけられるようになる。そんな時、同じようにコールの嫌がらせを受けていた同級生、タキオ・グリーンと友達になる。彼は一見ごく普通の少年のように見えるのだが、ある特技を持っていた。その謎はなかなか明かされない。
一方、退役軍人のフィンチは、夜な夜なある音に悩まされていた。それは、近くの高校の上空を飛んでいる軍事ヘリの音だ。彼のストレスが膨れ上がって破裂することになるとき、また、バーナムも立ち上がっていたのだ。そしてそれを目撃するタキオ。
一体何が起こるのか。
一方、退役軍人のフィンチは、夜な夜なある音に悩まされていた。それは、近くの高校の上空を飛んでいる軍事ヘリの音だ。彼のストレスが膨れ上がって破裂することになるとき、また、バーナムも立ち上がっていたのだ。そしてそれを目撃するタキオ。
一体何が起こるのか。
なんなんだろう、この小説は。
よくテレビのニュースで見るアメリカの悲劇を描いた小説なのかと、少し思いかけていたところへ強烈なあれがやってくる。意図せずして。
この小説のジャンルは今の日本にはおそらく無い。
一番その輪郭をとらえられるであろう表現は、「アメコミのダークヒーローもの」ということになるのかもしれない。ただ、その表現も何かが足りていない気がする。微に入り細に入りディティールを積み上げて構築していく小説世界をあっという間にぶち壊して、そのまま逃げていくような。そんな異常な物語である。
そして、なんといっていいのかわからないが、おそらく最もかっこよく、もっとも奇妙なヒーローがここに誕生する。意図せずして。
よくテレビのニュースで見るアメリカの悲劇を描いた小説なのかと、少し思いかけていたところへ強烈なあれがやってくる。意図せずして。
この小説のジャンルは今の日本にはおそらく無い。
一番その輪郭をとらえられるであろう表現は、「アメコミのダークヒーローもの」ということになるのかもしれない。ただ、その表現も何かが足りていない気がする。微に入り細に入りディティールを積み上げて構築していく小説世界をあっという間にぶち壊して、そのまま逃げていくような。そんな異常な物語である。
そして、なんといっていいのかわからないが、おそらく最もかっこよく、もっとも奇妙なヒーローがここに誕生する。意図せずして。
このキャラクターたちは一度きりの登場ではもったいない。
ぜひ続編が読みたくなるのは私だけではないはずだ。
ここに、目くるめくダークヒーローファンタジー小説の世界が待っている。