広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.144

蔦屋書店・河賀のオススメ 『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』ヤマザキOKコンピュータ/タバブックス
 
 
まずはタバブックスのシリーズ3/4について。
3/4くらいの分量、サイズ、重さ、3/4くらいの身軽さ、ゆとり、余白のある生き方をさがす人のためのシリーズ3/4の第5弾が本書です。
いいですね、わたしにぴったりのシリーズだしタイトルをスルーできなかったので読んでみました。
 
「通いやすい銀行にお金を預けて、手に入りやすい物を買って生活していた結果、つまらない街が延々と広がってしまった。どこの街に行っても四角くて色のないマンションが並んでいるし、同じようなショッピングモールやコンビニばかりが増えていて、家も店も物も売れるように最適化された物ばかり並んでいる。悔しいけど、この街を作ったのは俺たち自身だ。これから先もずっと目の前に出された物ばかりを手にして暮らしていたら、未来はどんどんくそつまらなくなってしまう。」
この冒頭文にドキッと、までなくても、ん?と何か感じたなら読んでみてはいかがでしょう。サクッと読みやすい分量ですし。

著者のヤマザキOKコンピュータはパンクを愛するバンドマンであり投資家です。メインテーマは投資ではありますが、投資をお金を増やすための道具ではなく、人生を楽しむための道具として扱ってみる、そうすることでくそつまらなそうな未来にも楽しめることはあるんじゃないか!そんな本だと思います。お金の使い方、貯め方はそれぞれで正解なんてないけど、納得のいく使い方をしていくことが人生を豊かにするのかもしれません。
 
資本やリアル投資については読んでいただくとして(とても分かりやすいです)、著者が学生時代に愛用したお弁当屋さんのお話がわたしには刺さりました。毎日のように通い詰めた茶色ばっかりのおいしいお弁当屋さんは、チキン南蛮や白身フライ、何でもおいしかった。でもいつしか仲間たちとファミレスやコンビニに通い詰めるようになってしまいます。何がおいしかったかも思い出せないのに…思春期も終えるころお弁当屋さんを思い出していってみると、閉店の文字。
本当の閉店の理由はわかりませんが、もっと通うことはできた、もっと投資すればよかった。そんな風に思うことがわたしもよくあります。そのことを忘れないために著者はそのお弁当屋さんの屋号をメールアドレスにしているそうです。真似しよっかな。
 
読んでみて、まず自分は何が好きでどうなりたいのか、考えてみる。何も考えずに誰かのせいにするのは簡単だけど、やっぱり自分の人生は自分で決めていきたい。そんなかっこいい生き方の「投資の話」だと思います。
くそつまらない法律にも負けたくないし、良い本、良い出版社が増えるようにシリーズ3/4に投資しようと思う。
そしてわたしはバンドマンが好きなのかもしれない。いや、好きなんです!
 
 
 
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