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広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.242『タイムトラベル 世界あちこち旅日記』益田ミリ/毎日文庫

蔦屋書店・古河のオススメ『タイムトラベル 世界あちこち旅日記』益田ミリ/毎日文庫
 
 
書店員としては、まだまだかなり未熟であるが、何より嬉しい時間はお客様と旅行話をすることだ。
旅行担当としては、お客様がこれから行こうとしている行き先の本を、あーでもない、こーでもない、と笑いながら話す旅行計画に一瞬参加したり、ヨーロッパで乗った電車の軌跡を辿りたいと世界地図を選ばれたお客様の旅の思い出話を聞くことは楽しい有難い一時である。
 
そんな思い出とタイムスリップできるような気分満載の文庫本が発刊された。
今回、発刊された益田ミリさん著『タイムトラベル 世界あちこち旅日記』。
読み終えた後、「世界をたくさん旅行したなー」という高揚した気分にさせてくれる。
 
ミリさんといえば一人旅は勿論、多くのお友達との旅を愉しむことも得意とする。
エピソードが細かく記憶に残され、文字やイラストで表現する。
どの国へ行っても、どんな環境であれ、どんな食であれ受け入れる柔軟性、キャパの広さがステキ。10代の旅行も、現在の旅行も。こういう過ごし方もあるんだ!なんだか読みながら幸せを感じてしまう。
 
 
例えば、
 
 
 
タイ・バンコク。
「あ、次、わたしの番です」口をもぐもぐさせながらのボーリング。
投球する順番を待つ場所に揚げたて、焼きたてのタイ料理。
私は、今、生きてここにいる~という感情が溢れて出てくるようだった。
からだの内臓と外側全部で楽しんでいた。

フランス・パリ・シャンゼリゼ大通り。
イルミネーションに輝くパリの街を友達三人で歩いた。
レストランでメニューを開く。なにひとつわからない。
「これと、これと、これをシルヴプレ」ナニかわからないものを注文したのがおかしくて、ずっと笑っていたわたしたち。ナニを食べたのか覚えていないが、ナニかを待っていたあのわくわくだけが残っている。
 
ノルウェー・トロムソ在住のガイドさん。
どんな経緯でこの街に?私は妙に心強く感じた。
どこで暮らしたっていい。
どこにだって行ける。
もし東京で立ち直れないようなできごとがあっても、わたしにはトロムソがあるんだ!そんなふうに考えていれば、ちょっとだけ気が楽になるのだった。
 
 
 
各国々でのエピソードは、自分の思い出を思い起こす時間となる。時に元気をもらい、時に懐かしくしっとりとする。
 
エッセイや小説も書き、イラストレーターでもあるミリさん。
表紙の絵はドラえもんを思わせる?トランク型のタイムマシンに乗るミリさん、楕円な時計も泳いでいる異次元。挿絵のサンダルやカセットテープ、マーライオンにスロットマシン、4コマ漫画も全部かわいい。
 
ミリさんファンも、初ミリさんになるかたにも、心癒される読書時間として本書をお勧めしたい。
 
 
 
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