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広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.298『酒・つまみ日和』パリッコ/光文社

蔦屋書店・竺原のオススメ『酒・つまみ日和』パリッコ/光文社
 
 
「酒場ライター」として数々の連載・著作を持つパリッコさん。
もともと酒好きが高じて2000年代後半より酒と酒場に関しての執筆を始められたこの方は、現在漫画家やイラストレーター、DJ、トラックメイカーとしても活動中との事で、本当に多岐に渡るジャンルで活躍中なのである。
 
2018年ごろに「チェアリング」という新しいお酒の飲み方を、ライターのスズキナオさんと共に提唱した事で、パリッコさんの名前は知らずとも、その功績をご存じの方はいらっしゃるかも知れません。
※2019年に『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』という書籍を出版されていらっしゃるので、気になる方はこちらもチェックしてみてください。
 
今年8月に刊行された本作は、当初(本作の出版元である)光文社のサイト「本がすき。」にて、そしてその後光文社新書の「note」に場所を移しつつ連載されていた「つつまし酒」を書籍化した第3弾の本です。
 
そもそもパリッコさんのライターとしての始まりは、ご友人が立ち上げた読物サイトに書き始めた連載が事の始まり(その時もやはり大衆酒場の記録的な内容だったそう)で、そこで書き記したものの知名度が上がるに連れて外部からもお声がかかる様になり、今に至るという経緯だそうです。
 
本作も、あるいは過去に出版された作品も含め、パリッコさんが愛される理由の一つとして、どんな店であろうと、パリッコ視点での「ここにしかない良いところ」を見つけ出して、自分の言葉で表現できるところだと思います。
それは例えば料理の味わいであったり、店内に貼り付けられているメニューの字体であったり、時には目には見えない雰囲気だったりするのですが、そうした「良いところ」についての語りが優しくて温かくて、妙に心地良いんですよね。
 
他方で「良い(飲食)店を知っている」というのは、間違いなく私たちの人生のどこかの部分を豊かにしてくれるものだと思いますが、そうした意味でパリッコさんの紹介されているお店の情報というのは実用的にとても為になる部分もありますし、パリッコさんを参考にして「自分もお気に入りの酒場を探してみよう」というやる気を漲らせてくれもすると思います。
 
最後に、いわゆる「食エッセイ」と言うと、やはり思い出されるのが東海林さだおさんな訳ですが、実はパリッコさんも(特に)大学生の頃に東海林さんの読み物にハマっていたとの事で、私の好きな作家さんお二人がちょっとでも繋がりを持っているのは、なんだか嬉しい思いでした。
 
 
 

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